2024年7月15日、埼玉県浦和コミュニティセンターで開催されました第14回低学年ドラ王座戦を観戦・取材させていただきましたので、その模様を報告します。
・低学年ドラ王座戦とは
・第14回低学年ドラ王座戦の模様
- 長男(大学1年)と次男(中3)を持つ親将(親将歴13年)
- 日本将棋連盟茨城常南支部役員 広報部長
- 千駄ヶ谷連盟道場初段、将棋ウォーズ二段
- 2022年11月から「こども将棋情報室」のサイトを運営
本記事の人物写真についてはモザイク処理を施していますが、一部掲載の許可をいただいた人物についてはそのまま未処理で載せています。
低学年ドラ王座戦
低学年ドラ王座戦とは?
低学年ドラ王座戦とはどんな大会なんですか?
低学年ドラ王座戦は、毎年7月に埼玉で開催される小学生低学年以下の大会です。
低学年ドラ王座戦は、小学生低学年以下限定の将棋大会です。
2011年より毎年開催されており、今年で14回目となりました。
関東の強豪が集まる有名な将棋教室「ドラの穴教室」の小島一宏先生(元アマグランドチャンピオン)が主催しています。
私も長男と次男の引率で、第2回大会から第8回大会まで合計7回参加しています。
小島先生は、「将棋よろず屋の徒然日誌」というブログ記事を書かれており、過去大会についても記事を書かれています。
小島先生のブログ記事は下記リンクより。
第一回大会には、伊藤匠叡王も参加されており、A級で準優勝となっています。
また、数多くの現奨励会員がこの大会の参加経験があります。
小学生以下限定の低学年大会が少ないこと、また8月に全国小学生倉敷王将戦が控えていることから、首都圏から多くの県代表者が集まり、また全国各地から本大会に遠征される親子もいます。
過去大会では、香川、北海道、岐阜、大阪などからも参加されていました。
昨年の前回大会は、A級に全国倉敷王将戦の県代表者が8名参加しており、さながら全国大会の前哨戦のようでした。
結果として、優勝した在國寺君が倉敷王将戦で準優勝、4位だった中村君が倉敷王将戦優勝、2位だった北川君は前年の倉敷王将戦優勝者と、低学年ドラ王座戦の上位者が全国大会でも活躍されています。
A級(初段以上と希望者)、B級(1~4級)、C級(5級以下)と3つのクラス分けがあり、級位者も参加しやすい大会となっています。
低学年以下限定の将棋大会なんですね。
棋力によってクラスも分かれているし、気軽に参加できそうです。
参加賞・残念賞やお楽しみ抽選会などのイベントもあります。
お子さんが将棋以外でも楽しめるように工夫されています。
過去大会の結果
第1回大会から第13回大会までの入賞者(敬称略)は下記の通りです。(参考:将棋よろず屋の徒然日誌)
現在のプロ棋士や奨励会員の段位も合わせて記載します。(段位は、2024年7月21日現在)
第〇回の部分をクリックすると小島先生のブログ記事に飛びます
大会 | A級 | B級 | C級 |
---|---|---|---|
第1回 (2011年) 33名 | 1位 鈴木廉太郎(3年・奨励会三段) 2位 伊藤匠(3年・プロ棋士・叡王) | 1位 小野花依(2年) 2位 板垣一輝 | ー |
第2回 (2012年) 48名 | 15名 1位 清原隆之介(3年) 2位 小野花依(3年) | 33名 1位 片山史龍(2年・奨励会三段) 2位 小窪碧(1年・奨励会三段) 堀内健世(2年) 俵玲来(3年) | ー |
第3回 (2013年) 52名 | 11名 1位 堀内健世(3年) 2位 片山史龍(3年・奨励会三段) | 14名 1位 米澤歩登(3年) 2位 小島大輝 | 27名 1位 渡辺響(3年) 2位 山岸恒介 |
第4回 (2014年) 47名 | 12名 1位 上田琥珀(3年・奨励会二段) 2位 岩村凜太朗(2年・奨励会三段) | 13名 1位 荒木航(3年) 2位 村上千紘(2年・奨励会1級) | 22名 1位 森数勇正(1年) 2位 坂本育真(1年) |
第5回 (2015年) 50名 | 11名 1位 岩村凛太朗(3年・奨励会三段) 2位 斎藤駿汰(3年) | 10名 1位 仲津景太(3年) 2位 星仲郁哉 | 29名 1位 泉田遼(年長) 2位 荒井慎也 |
第6回 (2016年) 53名 | 15名 1位 高坂直矢(3年・奨励会三段) 2位 泉田遼(1年) | 14名 1位 清本真帆(3年) 2位 吉田央佑(2年) | 24名 1位 続泰斗(2年) 2位 仲野颯玖(3年) |
第7回 (2017年) 81名 | 16名 1位 國井勝太(3年・奨励会初段) 2位 花村晃斉(2年・奨励会初段) | 21名 1位 飯嶋恒太(3年) 2位 菅谷武琉(年長) | C級赤 22名 1位 福田颯(3年) 2位 阿部総太郎(2年) C級青 22名 1位 小坂田健太郎(2年) 2位 後藤凰心(3年) |
第8回 (2018年) 86名 | 18名 1位 有働英永(3年) 2位 佐々木翔(3年・奨励会1級) | 11名 1位 伊藤輔(3年) 2位 山本岳(3年) | C1級 25名 1位 石田卓己(3年・奨励会4級) 2位 青木優弥(2年) C2級 32名 1位 中村虎太郎(1年) 2位 山口裕大(2年) |
第9回 (2019年) 83名 | 17名 1位 久保俊太朗(3年) 2位 小幡大智(3年) | 12名 1位 関仁晴(3年) | C1級 22名 1位 岸川未來(3年) C2級 32名 1位 石田敬新(1年) |
第10回 (2020年) 72名 | 15名 1位 菅谷武琉(3年) 2位 加藤駿(3年) | 17名 1位 岡野朋輝(3年) 2位 石川和佐(2年) | C1級 16名 1位 北川大樹(年長) 2位 尾崎斗真(2年) C2級 24名 1位 岩崎夏子(3年・女流2級) 2位 高津礼音(1年) |
第11回 (2021年) 60名 | 1位 祝井千空(3年・奨励会6級) 2位 和田耕真(3年) | 1位 青山航大(3年) | 1位 加藤輝(3年) |
第12回 (2022年) 77名 | 14名 1位 中村清之介(2年) 2位 高津礼音(3年) | 23名 1位 延岡遥大(3年) 2位 玉岡航(3年) | 40名 1位 粕谷奏翔(3年) 2位 加藤有(1年) |
第13回 (2023年) 64名 | 22名 1位 在國寺晴太(3年) 2位 北川大樹(3年) | 11名 1位 加藤有(2年) 2位 石津颯真(3年) | 31名 1位 竹内乙晴(3年) 2位 千葉匠真(1年) |
伊藤叡王や岩崎女流2級も低学年ドラ王座戦に参加していますね。
準備~受付
開催場所:浦和コミュニティセンター
第14回低学年ドラ王座戦は、7月15日(月・祝)埼玉県浦和区の浦和コミュニティセンター(浦和コミセン)第15集会室で開催されました。
近年は北浦和駅近くにあるカルタスホールで開催されていましたが、今年は浦和コミセンでの開催になっています。
浦和コミセンは浦和駅東口の目の前で、パルコの入ったビルの9Fにあります。
会場設営
会場である浦和コミセン9Fの第15集会室に到着したのは朝の8時45分頃でした。
すでに小島先生、奥様の明子さんの他に運営スタッフの土出さん・渡辺さんが来られており、会議室に入られたばかりでした。
低ドラの受付開始は10時から。
1時間の間に会場の設営と受付の準備を行います。
会議室は、3席一組の机が4×8列に配置されており、この机の配置を4席一組の5×6列に並べていきます。
また会場後方には、余った椅子を保護者席として設置してきます。
机の配置が終わると、盤・駒・時計の設置です。
対局時計は、A級とB級に使用されました。
会場設営の後は、受付の準備です。
A~C級共にスイス式トーナメントですが、A級のみ初戦の対戦カードをクジで決めます。
参加賞(詰将棋集・お菓子の詰め合わせ)も準備完了です。
お菓子の詰め合わせは低学年の子供さんにとって嬉しい参加賞です。
また待ち時間に詰将棋を解いている熱心なお子さんもいました。
壁には、低ドラの過去の大会結果、大会ルール、別の大会案内が掲示されていました。
大会結果には、先ほど紹介した伊藤匠叡王の名前もありました。
会場外の案内看板も設置し、いよいよ受付開始です。
受付
公式案内では受付は10時からとしていましたが、すでに準備も終えて参加者もちらほらと来場されていましたので、20分ほど早く受付を始めました。
受付では、名前と参加クラスを言い、参加費(1500円)を払います。
その後に参加賞のお菓子と詰将棋集をもらいます。
私も参加賞の手渡し係を務めさせていただきました。
A級参加者は、参加賞をもらった後に一局目のクジを引きます。
受付を終えた参加者は開会式まで各々の時間を過ごします。
どこの子供将棋大会でも見かける光景でしたが、友達同士で練習将棋を指したり、棋書を読んだりしていました。
受付をしながら、スタッフは対局の準備に取り掛かっています。
対戦表と対局票を作成しています。
受付から開会式までの時間が一番忙しいかもしれません。
低ドラの対局管理は、手合い係が管理する対戦表と対局票の2つを使って行います。
手合い係が対局者の対局票を席に置き、対局者は自分の対局票の席で対局を始めます。
対局が終われば、勝った方が相手の対局票と2枚合わせて手合い係に提出します。
受付が終了し、参加者人数が確定しました。
低ドラは事前申し込み制を取っており、元々は75名の申し込みがありました。
申し込み後から3名が欠席となり、最終的には72名の参加となりました。
申し込み後の欠席連絡は、運営側の段取り上、大変助かります。
今回もきちんと欠席のご連絡をいただいており、受付をスムーズに行うことができました。
最終の参加者は下記の通りです。
第14回低学年ドラ王座戦参加者 ※()内は昨年度の参加者
- 合計:74名(64名)
- A級:26名(22名)
- B級:20名(11名)
- C級:26名(31名)
昨年より10名増えて74名になりました。
遠く宮城県の参加者もおられました。
A級には、翌月の全国小学生倉敷王将戦(低学年の部)の県代表者が10名も参加しました。
ハイレベルな争いが期待できます。
開会式
受付と対局準備が終わり、開会式が始まりました。
主催のドラの穴支部の小島先生より低学年ドラ王座戦の大会概要とルールについて説明がありました。
- スイス式リーグ戦6回戦
- A級、B級:持ち時間15分、切れたら一手30秒未満
- C級:時計なし(ただし進行によっては時計が入る)
開会式は5分ほどでした。
いよいよ対局が始まります。
対局(午前の部)
午前の対局
開会式を終えて、いよいよ対局が始まります。
まずは手合い係が対局者の名前を呼んで、対局席に着かせます。
対局席に着いたお子さんは各々振り駒を行い、10時40分頃に対局が始まりました。
対局が終わると、勝者が相手の対局票も合わせて2枚重ねにして、手合い係に勝ち負けを報告します。
対局票は一旦手合い係に預け、手合い係が次の対局の手合いを決めていきます。
12時前には午前の3対局が各クラスで終了しました。
3対局終わったお子さんからお昼休憩に入ります。
昼食休憩
昼食は各自各々で取られていました。
会場内で昼食する親子連れもいたり、外食されている方もおられました。
私はドラの穴支部でご用意いただいたお弁当を美味しくいただきました。
ありがとうございました。
対局(午後の部)
午後の対局
午後の対局は12時半から再開です。
4回戦からスタートし、6回戦まで行います。
賞品準備
午後の部も終盤に差し掛かる頃、運営スタッフは賞品の準備に入ります。
親将の藤本さんもスタッフに加わり、賞品の準備を手伝っていただきました。
賞品は、入賞、3勝賞、残念賞に分けられます。
各クラスの優勝者・準優勝に贈られる表彰状の作成もこの時間に行われます。
小島さん(奥様)が丁寧かつ心を込めて表彰状に名前を書いていきます。
最終結果
14時頃には全クラスで対局が終了しました。
C級は、6戦全勝の田原口君が優勝。
山元君と本原君が5勝1敗で並びましたが、得点計算の結果、山元君が2位となりました。
C級の結果は下記の通り。
- 優勝 田原口 輝(2年)
- 2位 山元 景大郎(2年)
- 3位 本原 成(1年)
- 4位 大河内 峻平(2年)
上位の4人は2年生以下なので、また来年も参加してほしいですね。
B級は、6戦全勝の小島君が優勝。
2位は5勝1敗で小町君が入りました。
- 優勝 小島 寛史(3年)
- 2位 小町 知幸(2年)
- 3位 萩原 登真(3年)
- 4位 藤原 理(2年)
県代表者が10名も集まったA級はハイレベルな争いが繰り広げられました。
結果、磯貝君が6戦全勝で優勝、栃木代表の千葉君が5勝1敗で2位となりました。
- 優勝 礒貝 啓佑(3年)
- 2位 千葉 健太郎(3年)
- 3位 森 晴哉(2年)
- 4位 三村 俊貴(3年)
優勝した磯貝君は、惜しくも県代表は逃しましたが、昨年の本大会で3位、テーブルマーク東京大会で2位とその実力は確かなものがあります。
本大会の結果を自信にして、より高みを目指してほしいと思います。
A級では宮城県から参加した2年生の森君の健闘が光りました。
表彰式の前に、3勝賞と残念賞(2勝以下)の賞品が配られます。
2勝以下の残念賞は、小さなお菓子を5つ選ぶことができます。
お菓子の種類が多く、選んでいるお子さんも嬉しそうでした。
3勝賞は、大き目のお菓子を二つ選べます。
たくさんのお菓子があるとなかなか迷います。
表彰式・お楽しみ抽選会
表彰式
14時20分より表彰式が行われました。
A級からC級まで優勝・準優勝には賞状が、また入賞した全てのお子さんに賞品が送られます。
優勝・準優勝者には、最後に記念撮影も行いました。
(私も写真を撮らせていただきました)
お楽しみ抽選会
表彰式の後は、お楽しみ抽選会です。
抽選で当選された方に、棋書や扇子が贈られます。
誰もが当選するチャンスがあるだけに、当選者発表の瞬間は大盛り上がりでした。
お楽しみ抽選会が終了し、第14回低学年ドラ王座戦は閉会となりました。
終了したのは14時45分頃でした。
後片付け
参加者が会場を後にし、運営スタッフは後片付け・撤収に入ります。
将棋道具の回収と机・椅子の配置を元に戻します。
スタッフ全員で手分けをし、ものの20分ほどで会場内の机・椅子も元通りになりました。
最後に荷物の撤収作業です。
荷物が多いので、下の駐車場まで2回に分けて運びました。
運営スタッフが会場を後にしたのは15時20分頃。
スタッフの皆さん、お疲れ様でした。
第14回低学年ドラ王座戦 あとがき
第14回低学年ドラ王座戦は特にトラブルもなく、今年も盛況に終わりました。
私は昨年に引き続き、朝の準備段階から最後の後片付けまで観戦・取材をさせていただきました。
まず感じたのは、小島先生を中心としたスタッフ4名の運営力の高さです。
将棋大会の運営経験がある方はわかるかと思いますが、参加者72名(しかも低学年以下)、保護者を入れると150人近くの来場者がいる中で、A級、B級、C級の3部門の将棋大会をわずか4名で運営するのはなかなかできることではありません。
朝から、準備⇒受付⇒開会式⇒対局⇒昼食⇒対局⇒表彰式⇒抽選会⇒閉会⇒後片付けの流れでしたが、何一つ無駄なく進行されておりました。
小島先生と奥様の周到な事前準備、個々のスタッフの運営経験値と能力の高さ、まとまりのよさ、なによりスタッフ自身がなにか運営自体を楽しんでいるような雰囲気さえ感じられ、それが本大会の成功につながっているように思います。
また、参加賞にお菓子詰め合わせと詰将棋集が配られ、さらに入賞、参加賞、残念賞も用意されており、さらにさらにお楽しみ抽選会も催され、参加者に大会を楽しんでいただくという選手ファーストの基本姿勢が大会に表れておりました。
私自身、第二回大会から第八回大会まで、長男と次男を引率しながら低学年ドラ王座戦を計7回参加させていただきましたが、毎回楽しんで将棋を指す息子を観戦しておりました。
今回も当時の雰囲気と全く変わっておらず、改めていい将棋大会だな感じました。
小学生低学年以下限定の将棋大会で、70名規模が集まる大会はなかなかありません。
(テーブルマーク将棋大会はありますが)
また低ドラの開催時期が、倉敷王将戦全国大会の1ヶ月前とあって、倉敷王将戦の代表者は全国大会前の腕試しを、代表でないお子さんも低学年の中での自分の力を見極めるいい機会かと思います。
今年は倉敷王将戦の県代表者が10名参加しておりましたが、関東圏限らず地方の方もぜひ遠征で埼玉まで来て低学年ドラ王座戦に参加してほしいと思います。
また低学年ドラ王座戦は級位者のB級・C級のクラスもあるので、級位者のお子さんも気軽に参加してほしいと思います。
最後に、今年で第14回大会を迎えた「低学年ドラ王座戦」が、子供達への将棋の普及や棋力向上のために今後も末永く続きことを祈念して、この記事を終えたいと思います。
この記事を見た親御さんが、「低学年ドラ王座戦に参加してよかった」、また「低学年ドラ王座戦に興味を持った」と思っていただければ幸いです。
昨年に引き続き、低学年ドラ王座戦を記事にさせていただきました。
本記事の作成にあたり、取材の許可をいただき、また大会当日も温かく迎えていただいたドラの穴支部の小島先生(支部長)に感謝申しあげます。
また奥様を始め運営スタッフの方々にも大会当日は大変お世話になりました。
皆様のおかげで今年も記事を書くことができました。
ありがとうございました!
第14回低学年ドラ王座戦の模様は、小島先生のブログにも記事が掲載されています。
興味ある方は下記リンクからお入りください。
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