3月26日(日)に開催されました公文杯小学生将棋名人戦/東日本大会を観戦しました。
全国の都道府県大会を勝ち抜いた代表者の熱い対局はもちろん、本大会の会場入りから閉会までの模様も記事にしましたので、ご覧ください。
- 長男(高2)と次男(中1)を持つ親将(親将歴11年)
- 日本将棋連盟茨城常南支部会員
- 千駄ヶ谷連盟道場初段、将棋ウォーズ二段
- 2022年11月から「こども将棋情報室」のサイトを運営
本記事では、親御さんより許可をいただいた顔写真を一部使用しています。
また、許可が取っていない写真については、モザイク処理をしています。
もしお子さんのモザイク処理を取ってほしいとのご要望がありましたら、気軽に下記「問い合わせ」にご連絡をください。
開場から受付まで(8:20~9:20)
チサンホテル浜松町
第48回公文杯小学生将棋名人戦/東日本大会の開催場所は、東京都港区にあるチサンホテル浜松町です。
関東はここしばらく3月とは思えないほどの陽気でしたが、前日の土曜日から久しぶりの雨で、雨模様は日曜日も続いていました。
会場のチサンホテル浜松町は、ホテル名の通り浜松町駅から徒歩10分ほどの場所にあります。
浜松町駅はJR山手線の東京駅から3つ目の駅で、羽田空港からでも東京モノレール一本で行けるので、地方から来られる方でも比較的わかりやすく、アクセスの良い場所に位置しています。
浜松町駅は北口と南口と2か所出口がありますが、チサンホテル浜松町は南口側になります。
将棋連盟の案内では、受付は8時45分から9時20分でしたが、私は8時に浜松町駅に到着して立ち食いそばで朝食を取って、現地に向かいました。
南口改札を出て、真っすぐ行った場所に案内地図がありました。
こちらにもチサンホテル浜松町の場所が表示されています。
チサンホテルに向かう道中は、かなり先まで屋根があります。
雨が降っていましたが、なんとか傘をささずにチサンホテルに到着しました。
チサンホテルの入り口前には、東日本大会の看板が立てられていました。
この前で記念撮影を撮るのはお決まりですね。(私も毎回やってました)
会場入りから受付まで
会場のある2階のロビーには8時20分頃に到着しました。
一組の親子がすでに来られていて、私は2番でした。
8時30分頃からぞくぞくと選手とそのご家族が来られます。
開場は8時40分頃で、受付が始まりました。
日本将棋連盟の職員3名の方で受付から閉会までの運営をされてました。
受付の流れは下記の通りです。
受付で自分の都道府県と名前を伝えると、記念品の置き駒や大会パンフレット、首からかけるホルダー×2(選手用、保護者用)が入った袋をもらいます。
置き駒の裏側には、参加者の氏名と日付が記載されていました。
名前入りなので、いい記念になりますね。
予選対局時に会場に入れる保護者は1名と限られていました。
他の保護者の方は、おのおのロビーや荷物置場の部屋で待機されてました。
予選対局の枠組みを決めるくじを引きます。
東日本大会の参加者は24名で、4人×6組のリーグ戦が行われます。
「○○さん、2組3番」、「○○さん、6組1番」など受付の方が読み上げ、もう一人の方がリーグ表に書き込んでいきます。
9時頃になると、対局席に選手名の書かれたプラカードが設置されるので、選手は対局席についていきます。
選手は開会式まで対局席で待機することになります。
少し時間があるので、この間に用を足すなど対局に備えて準備をします。
会場の様子
会場は長方形型のイベントルームで、前方から舞台、対局場、保護者席で、後方が運営席となっています。
対局席はすでに準備が整っていました。
今年度から感染防止の仕切りが取り除かれていました。
脱コロナに向けて、日常の将棋風景が戻っていることが感じられます。
仕切りがなくなったのはいいですね。
対局者同士の距離も近く、より相手を感じながら将棋を指すことができます。
正面前方には、公文杯と小学生名人のトロフィーが飾っています。
小学生名人のトロフィーには歴代の小学生名人の帯があり、羽生九段や渡辺名人がかつてこのトロフィーを手に取られたことがわかります。
壇上です。
開会式でのご挨拶や対局開始の号令が行われます。
保護者席です。
予選対局時のみ密を避ける関係で保護者1名の入室・観戦が許されていました。
(開会式や決勝トーナメント時は入室自由)
保護者は、対局席後方に用意されていた席で観戦します。
私も予選対局時は入り口からそっと観戦していました。
他の保護者の方は、ロビーで待機されています。
ロビーは、椅子や机があり、十分な待機スペースがありました。
会場は、対局場の他にも、①連盟関係者控室、②選手荷物置場、③指導対局・自由対局場の3部屋が用意されておりました。
大半の方が遠方から来られるので、荷物置場が用意されているのはありがたいですね。
開会式(9:20~9:30)
定刻9:20より開会式が始まりました。
まずは、森下卓九段(将棋連盟常務理事)のご挨拶です。
森下九段のご挨拶
- 私も45年前の小学6年生に参加した。予選突破したものの本戦1回戦で負けて悔しい思いをした。
- 選手の方は、希望・夢を持って対局に臨んでいるとは思うが、勝ち負けはどうしようもないので、そこにはこだわらず、胸を張って正々堂々とマナーを持って指してほしい。
- 保護者の方は一生懸命戦ったお子さんが戻ってきた際は、温かい気持ちで「お疲れ様」と迎えていただきたい。
- 選手の皆さんが今日一日自分の力を発揮して将棋を指せることを願っている。
次に審判長の塚田泰明九段、副審判長の高崎一生七段のご紹介です。
両棋士は、指導対局も務められます。
続いて塚田九段審判長のご挨拶です。
塚田九段のご挨拶
- 都道府県の代表になられておめでとうございます。
- 私も第一回の小学生名人戦に出場したが、ベスト8で敗退してしまった。
- 小学生名人戦は、現在の将棋会館の完成記念に始まった大会だった。
- 選手の皆さんは力を存分に発揮して、いい成績を上げることを期待している。
最後に司会者よりルール説明が行われました。
東日本大会の対局ルール
- 先手後手は振り駒。振り駒は学年が上の選手が行う。(学年が同じなら誕生月が先の選手)
- 待ったはなし。手を離したら指し手を変えてはいけない。
- 助言はなし。
- 二歩、その他の反則があった場合はその場で負けとなる。ただし投了後に気づいた時は勝負通りとなる。
- 持ち時間は各10分。使い切ると1手30秒未満で指す。
- 千日手は連続王手以外は先手後手を交代して、残り時間で指す。
- 相入玉将棋は、持ち点で相手より1点でも多い方が勝ち。大駒5点、小駒1点で、27点ずつになった場合は先手後手を交代して残り時間で指す。
- その他問題が起こった場合は手を挙げて、審判の指示に従う。
- 本大会は審判の判断が最優先となる。
開会式が終わり、いよいよ予選対局の始まりです。
会場内に緊張感ただよう空気が流れてきました。
高崎七段の「対局開始!」の号令で、対局が始まりました。
予選対局(9:30~11:50)
予選対局は、2勝通過2敗失格です。
まずはクジで振り分けた組の中で2局行われます。
2局目は、1局目の勝った者同士、負けた者同士が対局します。
ここで2連勝した選手が予選通過、2敗した選手が予選敗退となります。
1勝1敗の選手は、隣の組の1勝1敗の選手と3局目を行います。
(例)1組の1勝1敗の選手は、2組の1勝1敗の選手と対局
1勝1敗の選手は1組で2名出ます。
全部で6組あるため、6組×2名の計12名が決勝トーナメント進出をかけて3局目を行います。
決勝に進出できるのは半分の12名。
決勝トーナメント進出を目指し、予選対局が始まりました。
1回戦(9:30~10:10)
対局者は厳しい都道府県大会を勝ち抜いた実力者ばかり。
対局場は静寂に包まれながら、駒音だけがパシパシ鳴っています。
保護者の方々も我が子の対局を後方から見守っています。
対局開始15分頃からぽつぽつとそれぞれの対局が終局していきます。
安堵している選手・保護者の方もいれば、がっかりしている選手を励ます親御さんもいたり、勝負の厳しさを感じます。
負けた選手のメンタルケアも大事ですね。
当初予定していたスケジュール通りに進行し、1局目は10時過ぎに全局終了しました。
2回戦(10:20~11:00)
2局目は予定通り10:20に開始されました。
1局目に勝った選手は、ここで決勝トーナメント進出を決めたいところです。
保護者の方々も真剣に我が子の対局を見守ります。
高崎七段や観戦に来られた勝又七段も対局をご覧になられています。
15分ほど経過してから、各対局がぞくぞくと終了していきます。
残念ながら2敗してしまった選手は、ここで敗退となりました。
この東日本大会に参加された選手の方々は、みなさん都道府県大会で優勝した実力者ばかりです。
森下九段も冒頭の挨拶で言われていましたが、勝ち負けは相手もあるなど運も大きいので仕方のないことです。
なにより全力で戦ったか、自分の力を発揮できたかが大事なのではないかと思います。
なにより都道府県大会で優勝されたこと、東日本大会で他の都道府県大会の代表者と真剣勝負ができたことはお子さんにとっても保護者の方にとっても貴重な経験になったのではないでしょうか。
結果はついてこなかったですが、東日本大会という大舞台で全力で戦ったことに胸を張り、地元に戻られてほしいと思います。
私も保護者として、息子が2敗で敗退した経験があります。
本大会で2敗した親御さんから後ほど連絡をいただきました。
息子さんが家に帰ってから、負けた2局をソフトで解析し、今までにないほど時間をかけて振り返っていたとのこと。
この悔しさをバネにまた次に向かって歩み始めている息子さんの話を聞いて、本大会を通じて棋力もさることながら、人間的にも成長されているように感じました。
3回戦(11:10~11:50)
決勝トーナメントをかけた1勝1敗の12名の3局目です。
この対局は、勝った方が決勝トーナメントに進め、負けた方は敗退が決まります。
この3局目も緊張感ある空気が漂ってました。
この時間、2勝通過者はお昼休憩に行かれたり、対局を観戦したり、指導対局を受けたり、自由対局で指したりとそれぞれの時間を過ごされていました。
この時間から塚田九段、高崎七段による指導対局が行われます。
予選敗退者を対象としていますが、決勝進出を決めて時間のある選手も一部参加されていました。
この3局目で負けてしまい、悔しさで泣いているお子さんと、そのお子さんを励ましているご家族の方がおられました。
3局目の相手が全国的に実績のあるお子さんだったので、厳しい対局だったのではないかと想像します。
しばらく泣いていたお子さんでしたが、その後気持ちを整えて指導対局室に向かって行かれました。
悔しさのあまりプロ棋士との指導対局を受けないお子さんも多い中で、その悔しさを一度胸に閉じて、また次に向かっていくお子さんを見て感動させられました。
指導対局の様子も見ていましたが、高崎七段を相手に態度よく真剣に将棋を指されていました。
また来年もあるので、この東日本大会に戻ってこられるように頑張ってほしいと思います。
3局目が終わり、いよいよ決勝トーナメントに進む12名が決定しました。
12名は再度クジを引いて決勝トーナメントの枠が決まります。
12名のうちの4名は2回戦(ベスト8)からとなり、まずは8名で一回戦が行われます。
第48回公文杯小学生将棋名人戦/東日本大会
決勝トーナメント進出者12名 (学年は2023年3月時、敬称略)
- 梅澤満喜(北海道・5年)
- 畠 檀 (秋田・4年)
- 遠藤叶都(福島・5年)
- 古賀雅希(東京23区・5年)
- 藤森舜太(埼玉・5年)
- 斉藤翔真(千葉・4年)
- 小林知生(群馬・3年)
- 土田悠真(新潟・4年)
- 岡村奏汰(長野・4年)
- 萩原和希(富山・4年)
- 飯田啓吾(愛知・5年)
- 朝比奈潤(静岡・5年)
決勝トーナメント1回戦(12:00~12:40)
塚田九段の号令で、決勝トーナメント1回戦8名による対局が始まりました。
予選リーグでも対局した2名がこの決勝トーナメントでも当たりました。
結果、予選リーグでは敗れた選手がこの対局では勝利し、ベスト8に進出しました。
4対局が終了し、2回戦進出者が決まりました。
ベスト8の対局は昼休憩後になります。
お昼休憩は1時間設けられています。
近くのマクドナルドに行かれる方もいれば、ホテル隣のローソンで買ってロビーで食事するなどそれぞれでした。
決勝トーナメント2回戦(13:40~14:20)
昼食休憩を挟んだ後、決勝トーナメント2回戦(ベスト8)が高崎七段の号令で始まりました。
2回戦の最中に指導対局場を除くと、選手6名が塚田九段、高崎七段と指導対局を行っていました。
なかなかない機会ですので、指導対局にも参加して、プロ棋士から直接教わるのもいいですね。
ベスト8を勝ち上がり、上位4名に残った選手は下記の通りです。
第48回公文杯小学生将棋名人戦/東日本大会
ベスト4進出者 (学年は2023年3月時、敬称略)
- 古賀雅希(東京23区・5年)
- 藤森舜太(埼玉・5年)
- 飯田啓吾(愛知・5年)
- 朝比奈潤(静岡・5年)
ベスト4の進出者は全員5年生になりました。
みなさん今回が小学生最後の名人戦になります。
決勝トーナメント3回戦(14:30~15:10)
いよいよ次の決勝大会に進出する2名を決める最後の対局です。
決勝大会に進出する4名の中で、愛知の飯田さん、静岡の朝比奈さんは、この対局が本日6局目の対局となります。
決勝大会はNHKのテレビ対局もあり、小学生の将棋キッズ誰もが憧れる大舞台。
その切符がかかっているため、対局者4名も真剣そのものです。
一対局が終局し、最後に残った対局は延々30秒将棋が続く大熱戦でした。
どちらが勝つかわからない難局の終盤戦。
最後の大熱戦に会場に残っていた子供達も対局席の周りに集まって観戦していました。
15時前に最後の1局が終了し、決勝大会に進出する2名が決まりました。
第48回公文杯小学生将棋名人戦/東日本大会
決勝大会進出者 (学年は2023年3月時、敬称略)
- 古賀雅希(東京23区・5年)
- 朝比奈潤(静岡・5年)
決勝大会に進出されるお二人は、実力を遺憾なく発揮し、ご活躍されることを期待しております。
3月19日(日)に先に開催された西日本大会の結果は下記の通りです。
第48回公文杯小学生将棋名人戦/西日本本大会
決勝大会進出者 (学年は2023年3月時、敬称略)
- 永山遥真(京都・4年)
- 井上岳(奈良・5年)
参考URL:公文杯第48回小学生将棋名人戦西日本大会 結果報告 – 関西将棋会館 (kansai-shogi.info)
閉会式・記念撮影(14:55~15:00)
全ての対局が終わり、閉会式となりました。
塚田九段より閉会のご挨拶がありました。
塚田九段の閉会の言葉
- 対局の観戦、指導対局を見て、最新形が多く、よく勉強されていた。
- 古賀君、朝比奈君は東日本の代表として、決勝大会では優勝を目指し頑張ってほしい。
最後に決勝大会進出の2名と塚田九段、高崎七段で記念撮影を行いました。
記念撮影を終えて、閉会式は終了となりました。
最後まで残られていた方は8組くらいのご家族だったかと思います。
みなさん(選手、保護者の方々)最後までお疲れ様でした。
閉会式は終わりましたが、決勝トーナメントに進出されるお二人は、保護者と共にNHKからの説明を受けておられました。
NHKでお二人の将棋を見れるのは本当に楽しみです。
第48回公文杯小学生将棋名人戦(東日本大会)あとがき
運営スタッフのご対応
第48回公文杯小学生将棋名人戦/東日本大会の模様を記事にさせていただきました。
東日本大会を観戦して感じたのは、東日本大会を運営された日本将棋連盟のスタッフ3名の方々の段取りが非常に良かったことです。
基本スケジュール通りの運営でしたが、状況に応じて、柔軟かつ臨機応変に運営対応をされておられました。
良かった点を下記に記載します。
- ほぼスケジュール通りに進行した。受付から閉会まで全てのイベントの進行がスムーズだった。
- 選手・保護者ファーストで運営を行っていた。
- 荷物置場の確保
- 指導対局(敗退者のみならず、時間のあるシード選手も参加可能だった)
- 自由対局場(昼休みに子供達が対局していた。またスタッフの方が対局相手を探してくれた)
- 一局が終わるごとにその結果をタイムリーに掲示していた。(保護者としては、かなりありがたい)
おそらく参加された選手・保護者の皆さんもなんら違和感を感じずに大会を終えたのではないかと思います。
運営スタッフの皆様、素晴らしい将棋大会を作っていただき、ありがとうございました。
最後に
今回一観戦者として東日本大会の会場に足を運びました。
息子が参加していない全国規模の大会の観戦は初めての経験でしたが、普段からお世話になっている親御さんや顔見知りの選手もいて、一緒に大会の進行を見守りながら観戦することができました。
会場では、地方から来られる多くの親御さんにお声がけをさせていただきました。
初対面にも関わらず、みなさん気さくに応じていただき、地方ならではの苦労話や都道府県大会の模様など興味深い話ばかりで、楽しい時間を過ごさせていただきました。
今回の東日本大会で関わった全ての親御さん、選手の方々、大変お世話になりありがとうございました。
公文杯小学生将棋名人戦/東日本大会は、全国都道府県大会を勝ち抜いた一握りのお子さんだけが参加できる大会です。
それだけに一局一局の対局に臨むお子さんやそれを見守る親御さんにドラマがあり、本大会で経験されたことはご家族にとって一生の思い出になるのではないかと思っています。(現に私も過去に参加した大会はどれも鮮明に覚えています。)
今回は普段なかなか見ることができない公文杯小学生将棋名人戦/東日本大会の模様を一人の親将目線で記事にさせていただきました。
この記事が参加された皆さんの思い出に、またこれから全国大会を目指すお子さんのモチベーションの一助になれば幸いです。
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