2025年3月30日(日)、山形県天童市で開催されました公文杯小学生将棋名人戦(決勝大会)を観戦しましたので、その模様を報告します。

- 長男(大学2年)と次男(高校1年)を持つ親将(親将歴14年)
- 日本将棋連盟茨城常南支部役員 広報部長
- 千駄ヶ谷連盟道場初段、将棋ウォーズ二段
- 2022年11月から「こども将棋情報室」のサイトを運営
本記事で使用している写真は、親御さんよりご許可をいただいた顔写真についてはモザイク無しの未加工で掲載しています。
本大会の結果については、日本将棋連盟のHPにて公表されています。(下記参照)
本記事では、会場の雰囲気やリハーサル・表彰式の様子を中心に記事にしています。
公文杯第50回小学生将棋名人戦 決勝大会
小学生将棋の最高位を決める公文杯小学生将棋名人戦。
最後の決勝大会は、3月30日(日)、山形県天童市で開催されました。
従来は4月後半に東京で決勝大会が開催され、後にEテレで放映される形でしたが、今回の第50回大会より東日本・西日本大会の翌日に行われることになりました。

移動の負担が少ない分、選手や親御さんにとってはやりやすいかもしれませんね。
前日の東日本大会・西日本大会を勝ち上がり、決勝大会に臨むのは下記の4名です。
決勝大会進出者4名(敬称略、学年は大会当時)
- 土田 悠真(6年・新潟)
- 鈴木 和空(5年・石川)
- 北山 卓(5年・兵庫)
- 高牟禮 楓(6年・広島)



過去大会より活躍していたり、研修会上位だったりと名だたる4名が揃いました。
決勝大会(午前の部)


リハーサル
選手の集合は、滝の湯2F、「蔵王の間」の一番奥の部屋になります。
こちらの会場には保護者や関係者席が設けられており、全面にはプロジェクターで盤上と対局席が映し出されていました。


日本将棋連盟のスタッフさんに許可をいただき、決勝大会の会場である5階の「竜王の間」を見学させていただきました。
「竜王の間」は、平成6年11月に当時の佐藤康光竜王に羽生善治名人が挑戦した竜王戦第6局の舞台でもあります。






天井にもカメラが設置されており、ここから盤面が映し出されます。


竜王の間については、ほほえみの宿の公式HPにも紹介されています。
8時30分になり、決勝大会に進む4名の選手が揃いました。
まずは、先ほどの「竜王の間」に移動し、リハーサルを行います。
リハーサルの様子は、会場のスクリーンを通して見ることもできますし、保護者の方も一緒に「竜王の間」まで付いていくことも可能です。




香川女流四段も加わる
このリハーサル時に、選手は実際に駒を触りながら、対局席の感触を確かめます。




対局席の奥にはNHKのカメラが設置されていますが、その脇に椅子も用意されています。
決勝戦はこちらで羽生会長と公文教育研究会の池上代表取締役が観戦されます。


リハーサルは30分ほどで終わり、いよいよ本番の決勝大会が始まります。
決勝大会 準決勝


9時20分に二人の対局者が5階「竜王の間」に移動しました。
会場は、羽生会長や池上代表取締役、新聞記者さん、天童市の関係者などが集まり、モニターで観戦します。


対局者の親御さんは一番前方の椅子に座り、モニターに映し出された大盤や対局の様子を見ながら勝負の行方を見守りました。
お子さんの晴れ舞台ではありますが、お子さん同様に親御さんも緊張されていたかと思います。
対局の内容については、NHKの番組でお楽しみください。
準決勝の2局目が11時半頃に終了し、午前の準決勝の2対局が終わりました。
対局直後にNHKのインタビューもあり、戦いを終えた選手がインタービューに応えていました。
感想戦に加わっていた香川愛生女流四段も直接インタビューされていました。


決勝大会(午後の部)
決勝戦
お昼休憩を挟み、13時よりいよいよ決勝戦の始まります。
決勝戦を戦うのは、新潟の土田君と広島の高牟禮君(共に六年生)。
低学年の時より活躍していた二人ですが、最後の小学生大会で最高の舞台に立つことができました。
両対局者が「竜王の間」の対局席に着席し、駒を並べていきます。
観戦会場には、関係者や親御さんの他にも昨日東日本大会に参加していたお子さんも二人観戦に来ていました。



小学生トップレベルの将棋をライブで観戦するのは勉強になると思います。
観戦に来ていた二人は5年生なので、来年決勝の舞台に立っているかもしれませんね。


激戦の決勝戦は1時間ほどで対局が終了し、土田君が勝利して小学生名人となりました。
土田君は関東研修会B2の実力者ですが、公文杯小学生名人戦については小学1年生の時から新潟代表となり、東日本大会は今回がなんと6回目の出場。
県代表として6回も東日本大会に出場したのは過去に例がないのではないでしょうか。
その6回目で初めて決勝大会に進出し、今回見事小学生名人の称号を手に入れました。
準決勝・決勝と差し回しは終始落ち着いており、6年生らしく年長者の将棋を指していたように思います。
土田君は月に二回新潟から東京の関東研修会に通われて腕を磨いてこられました。
今回の優勝は、本人の努力もさることながら、付き添いで東京まで通われたご家族のサポートも結果となって表れたように思います。
準決勝の時と同様に香川女流四段が感想戦に加わり、終盤の白熱した攻防の場面を振り返っていました。


会場に戻ってきた選手にインタビューです。
両対局者共にお疲れ様でした。


公文杯第50回小学生将棋名人戦の最終結果は下記の通りです。
大会 | 開催日 | 大会結果(敬称略) | 参考サイト |
---|---|---|---|
決勝大会 | 3/30 | 優勝 土田 悠真(6年・新潟) 2位 高牟禮 楓(6年・広島) 3位 鈴木 和空(5年・石川) 北山 卓(5年・兵庫) | 小学生将棋名人戦 決勝大会 開催報告|日本将棋連盟 |
表彰式・閉会式


決勝戦が終わり、観戦会場だった「蔵王の間」から1階の「末広」に移動します。
表彰式・閉会式は「末広」にて行われました。
表彰式にはNHKのテレビクルーも入り、リハーサルを行います。
リハーサルは10分ほどでした。


14時30分となり、表彰式が始まりました。
決勝大会に残った4名にトロフィー、表彰状、免状が贈られます。
また優勝した土田君には、加えて小学生名人杯と公文杯が授与され、副賞として飾り駒も贈られました。










最後に羽生会長より閉会のご挨拶がありました。
- 公文杯第50回小学生名人戦の決勝大会にご参加いただき、まことにありがとうございます。
- まず主催いただいた天童市様、協賛いただいた公文教育研究会様に厚く御礼申し上げます。
- 二日間で全国各地の代表者が一同に集結し対局が行われ、短い時間でしたが、数多くの熱戦が生まれました。
- 対局を見て感じたのは、小学生らしくきびきびとした差し回しとレベルの高さ、そして短いながらでも力強く指していく強さを感じました。
- この大会もおかげさまで50回と大きな節目を迎えました。全国小学生の子供達の目標とする大会として位置づけられたのかなと思いますし、将棋連盟としてもこれからますます発展させていきたいと思います。
- この大会の開催にあたりましては多くの皆様のご尽力をいただきました。厚く御礼申し上げます。


最後に写真撮影が行われ、決勝大会は予定通り15時に閉会となりました。






公文杯第50回小学生将棋名人戦 決勝大会あとがき


3月30日(日)、山形県天童市のほほえみの宿/滝の湯で開催されました公文杯第50回小学生将棋名人戦の決勝大会を現地で観戦させていただきました。
昨年までの決勝大会は、午前中にリハーサル、午後に準決勝・決勝の段取りでしたが、今年は午前にリハーサルと準決勝、午後に決勝と前倒しになりました。
おそらく日曜日中に帰宅される方のスケジュールを考慮しての変更だったように思われます。
おかげで私も16時頃の新幹線で帰ることができました。
決勝大会の会場は、「蔵王の間」が観戦会場、「竜王の間」が対局場となっておりました。
「竜王の間」は、過去に竜王戦の舞台となった場所で、対局場としては最高の舞台。
そこにテレビカメラも設置され、竜王戦同様の最高の雰囲気の中で対局をすることができました。
子ども達にとっては、この「竜王の間」で決勝大会の対局をしたことは一生の思い出になったように思います。
前日の東日本大会・西日本大会の開会式で、公文教育研究会の池上代表取締役が、「この大会は皆さんにとって人生の節目(せつもく)です」と言われておりました。
決勝大会に進まれた4名の方はまさに「節目(せつもく)」の時。
「節目(せつもく)」の中で一生に残る風景が心に残ったのではないでしょうか。
東日本大会・西日本大会に参加した48名の内、決勝大会に残れるのはわずか4人だけです。
なかなか厳しい狭き門ですが、決勝大会には今まで経験したことのない最高の舞台が待っています。
全国の将棋キッズにはこの最高の舞台を目指して、棋力向上に励んでほしいと思います。
この記事では、公文杯小学生将棋名人戦の最終決戦である「決勝大会」の模様をお伝えしました。
この記事が全国の将棋を指すお子さんや親御さんの参考になっていれば幸いです。
コメント