2025年3月29日(土)、山形県天童市で開催されました公文杯小学生将棋名人戦(東日本大会・西日本大会)を観戦しましたので、その模様を報告します。

- 長男(大学2年)と次男(高校1年)を持つ親将(親将歴14年)
- 日本将棋連盟茨城常南支部役員 広報部長
- 千駄ヶ谷連盟道場初段、将棋ウォーズ二段
- 2022年11月から「こども将棋情報室」のサイトを運営
本記事で使用している写真は、親御さんよりご許可をいただいた顔写真についてはモザイク無しの未加工で掲載しています。
公文杯第50回小学生将棋名人戦 東日本大会・西日本大会

公文杯第49回小学生将棋名人戦
東日本・西日本大会
伝統ある小学生将棋名人戦も今回で第50回目を迎えました。
本大会は、第47回大会より株式会社公文教育研究会の協賛で「公文杯」の冠がついて、「公文杯小学生将棋名人戦」となっています。
小学生将棋名人戦の過去の結果は日本将棋連盟のサイトをご覧ください。
公文杯小学生将棋名人戦|将棋大会|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
以前は、東日本大会を東京で、西日本大会を大阪で開催していましたが、前回大会より山形県天童市で東日本大会と西日本大会を同時に開催することになりました。
また、今回よりベスト4以降の決勝大会も翌日(3/30)に開催されることになりました。
決勝大会の開催時期が3月に変更となり、本大会の参加資格が、「幼稚園年長~小学5年生」から「小学1年生~6年生」に変更となりました。

今回の小学6年生はもう1年本大会に出られることになり、大きなチャンスです。
会場は、山形県天童市にある「ほほえみの宿 滝の湯」。
昨年同様に滝の湯2階にある「舞鶴」にて開催されました。


「ほほえみの宿 滝の湯」は、中学選抜将棋選手権大会の会場で毎年使用されていますので、今回代表になられたお子さんは中学生になってもこちらの会場で将棋をする機会があるかもしれません。


受付から会場入りまで


3/29(土)、山形県天童市は曇り。
前日は少し雨も降っていましたが、この日は雨の心配はありませんでした。
準備
朝7時半に会場の滝の湯を散策。
ホテルのロビーではすでに連盟の職員さんが受付を設置されていて、すでに準備は整っているようでした。


2階の「舞鶴」を覗くと、保護者席、対局席が設置されており、中央の机には記念品の置き駒も用意されておりました。


毎年用意されている
会場内は、入って右側に壇上があり、その前が対局場、対局場の後方に保護者席がありました。
昨年の本大会、また中学選抜将棋選手権大会と同じレイアウトでした。


後方より


受付


受付は少し早めの8時15分頃から始まりました。
東日本大会と西日本大会で左右2ヵ所の受付場所があります。
受付の手順は下記の通りです。
東日本大会側と西日本大会側に分かれているので、自分の出場する側に並びましょう。


自分の受付にきたら、都道府県と名前を伝えましょう。
係が出席者の確認を行います。


出席者の確認が終わると、首から下げる名札入りのホルダーと大会パンフレットが渡されます。
大会の間は名札を首からさげておきましょう。


最後に予選リーグの抽選を行います。
東日本大会の場合は予選リーグで同地域が偏らないように、4ブロック毎に抽選を行うように配慮されていました。(後でリーグ表を見てもうまく分散されていました。)
この抽選によって1~6組のリーグ戦での相手が決定します。


受付を終えて2階にある大会会場の「舞鶴」に移動します。
2階に上がる階段脇に大盤の将棋盤がありました。
大会参加者のご兄妹が将棋を楽しんでおられました。
滝の湯あるあるの光景です。


会場
受付を終えて、いよいよ会場入りです。
ロビー左奥の階段を上がると、左手に「舞鶴」があります。
ロビーからすぐなので、迷う事なく「舞鶴」に行けるかと思います。
会場に入ると、まずは保護者席の確保です。
保護者席は100席以上が用意されており、十分な席数がありました。


中央に置いてある記念品の置き駒を見て、保護者・子ども達とテンションが上がります。




参加者の名前が書かれてある



置き駒は一生の思い出になりますね。
受付時に行った抽選により、対局場は選手のネームプレートが設置されています。
このネームプレートで初戦の対戦相手や同じブロックにいる相手が判明します。


この辺りから親御さんや子供達の会話は、「初戦の相手は?」や「強豪の○○君がどこどこのブロックに入った」など、対局前の会話があちらこちらで聞こえてきます。
全国大会あるあるの光景です。
10分ほど前にアナウンスが流れ、選手はネームプレートが置かれた席に着席します。


開会式


開会式は9時より始まりました。
開会式にご来賓いただいた方々は下記の通りです。
- 新関茂(天童市長)
- 遠藤敬知(天童市議会議長)
- 相澤一彦(天童市教育委員会教育長)
- 野川勝弘(天童市商工会議所会頭)
- 押野茂(天童市観光物産協会会長)
- 山口敦史(天童市温泉協同組合理事長)
- 中島正晴(山形県将棋駒協同組合理事長)
- 片上大輔(日本将棋連盟常務理事)
- 池上秀徳(株式会社公文教育研究会代表取締役 KUMONグループ代表)
- 森内俊之(日本将棋連盟九段 大会審判長)
- 村山慈明(日本将棋連盟八段 大会副審判長)
- 石井知征(日本将棋連盟山形県支部連合会会長)
- 大泉義美(日本将棋連盟公認棋道師範)
- 村岡良雄(日本将棋連盟天童支部長)




開会式は、新関天童市長の挨拶から始まりました。
- 各地域の厳しい予選を勝ち抜き、各都道府県の代表として出場されるみなさん、ようこそ将棋の町天童にお越しいただきました。心よりご来場を歓迎申し上げます。
- 伝統と名誉ある公文杯小学生将棋名人戦が天童市で開催されることは光栄であり嬉しいことです。
- 日本将棋連盟様、公文教育研究会様を始めその他多くの関係者様に感謝申し上げます。
- 天童市は将棋にこだわった町作りをしており、駅前には羽生会長から揮毫いただいたモニュメントを設置しており、町には詰将棋など将棋に関する様々なオブジェが点在しており、天童を楽しんでほしいと思います。
- 滝の湯ホテルには将棋型ロボットも配置しており、楽しんでいただければと思います。
- 将棋は礼儀に始まり礼儀に終わる素晴らしい競技です。若さ溢れる爽やかな戦いを期待しています。
- 大会を通じて多くの皆さんと交流を深め、思い出深い大会になりますことを期待しています。
- 本大会が末永く開催されることを祈念し、また大会関係者皆様に感謝を申し上げて挨拶とさせていただきます。


続いて片上常務理事からのご挨拶。
- まずは都道府県大会の厳しい戦いを勝ち抜いて来られていること、おめでとうございます。
- 小学生名人戦は50回という大きな節目を迎え、子供大会の中で伝統ある大会であって、私自身も30年くらい前に参加しました。
- ここ天童には様々な観光する場所があるので、ご家族含めて楽しんでほしいと思います。
- このように盛大に開催できるのは協賛いただく公文様、天童市の皆様のおかげです。将棋連盟の代表として心より御礼申し上げます。
- 変更点として、今までは新学年の参加資格を決めていましたが、今回より現学年に変更になり、6年生が多く出てくることになり、レベルがより高くなることを想像しています。
- 皆さん地域の代表なので、優勝目指している子も多いと思います。どうか悔いのないように日頃の練習・勉強の成果を発揮して、一手一手集中して指していただければと願っています。
- 皆様のご健闘を祈念して挨拶にさせていただきたいと思います。


最後に公文教育研究会の池上代表取締役のご挨拶がありました。
- 公文杯50回の本大会に参加される皆様、おめでとうございます。
- 日本将棋連盟様、天童市様、今日の準備をされた全ての関係者様に心より感謝申し上げます。
- 藤井聡太竜王・名人が50勝した時に「一勝一勝を積み重ねて50勝の節目(せつもく)に到達した」と言いました。節目(せつもく)とは、これからどんどん上を目指す上での途中経過のことです。本大会はみなさんにとって、人生の中での小さな節目(途中経過)になるかと思います。
- 途中経過には色(風景)があります。今日の将棋を指して勝った負けたも風景ですが、ここでご家族で共に過ごした様々な風景もあります。今日の風景を将来思い出すことがありますので、この風景を大事にしてほしいと思います。今日は皆様の節目(せつもく)の大会ですが、風景と共にいい記念にしてほしいと思います。ぜひ頑張ってください。
池上代表取締役の「節目(せつもく)」の話は心に残りました。
ご家族も子供達も将棋だけでなくご家族で過ごした風景を大事にしていい思い出を作ってほしいと思います。


続いて大泉棋道師範より本大会のルール説明がありました。
- 持ち時間は10分。使い切ると一手30秒の秒読みとなる。
- 予選は2勝通過方式。決勝トーナメントは抽選で行う。
- 何か発生した場合は、手を挙げて審判に伝えてください。
- 将棋は礼儀作法が大事。始めるときは「お願いします。」負けた時は「負けました。」終わったら盤面を戻して、並べ終わったら「ありがとうございました。」この挨拶を声をはっきり出してやってほしいと思います。
- 思い出に残る対局ができることを祈念しています。
予選


予選1回戦
開会式を終えて、森内九段の号令の下で予選1回戦の対局が始まりました。


全国大会の1回戦は大会通じて一番緊張感のある時間です。
静寂の中で駒音だけがパチパチと響き渡ります。




























椅子の上に正座しながら対局している子もちらほらいました。


保護者は後方の座席から観戦です。
皆さん祈るように我が子の対局を観戦されていました。


本大会のルールは、「持ち時間は10分、切れたら30秒未満で指す」
比較的短い持ち時間なので、15分もすると対局が終了する組が出てきます。
対局が終了すれば、対局相手と事務局に報告に行きます。


事務局のスタッフさんは、対戦結果をすぐに掲示板に反映していただいたので、すぐに対局結果がわかります。


対局結果の掲示版は2ヵ所ありました。
タイムリーに結果が更新されるので、大会の動向をすぐに把握することができました。
40分もすると、多くの対局が終了しましたが、まだ残っている組もあります。
すでに30秒将棋になって20分が経過。
白熱した対局にギャラリーが集まります。


10時過ぎには予選1回戦が終了しました。
結果を見ると、各地で研修会上位の子が敗れるなど改めて全国大会のレベルの高さ、勝つことの難しさを感じました。
勝った子は予選突破を目指し、負けた子はなんとか予選3回戦に進めるように次の2回戦に臨みます。
NHKの取材・その他


今回の東日本・西日本大会の会場ではNHKの取材も行われていました。
選手は対局の合間にアンケート用紙の記入と、香川愛生女流四段によるインタビューを受けていました。





質問③の「藤井聡太七冠時代を止めるのはだれ?」の質問で、「④自分」に回答した子が何人いるかが気になります。
香川愛生女流四段のインタビューは写真撮影も含めて、和やかな雰囲気で行われていました。
ぜひテレビで放映されるといいですね。


午後には別のインタビューも行われており、本大会に参加した選手の感想などが収録されていました。


公文杯小学生将棋名人戦は保護者や選手のために、一定額の補助金が支給されます。
予選1回戦が開始後に会場外に窓口が設置され、こちらで保護者は補助金を受け取りました。


予選2回戦


10時15分頃から予選2回戦が始まりました。






























2回戦の対局は11時頃に終了しました。
2回戦を終えると、2連勝者、1勝1敗者、2連敗者と分かれます。
2連勝者の12人は決勝トーナメント進出、2連敗者は敗退となりました。
予選3回戦


予選3回戦は、予選リーグ1勝1敗者の24名が対局します。
勝てば決勝トーナメント進出、負ければ予選敗退となる大事な一局です。
11時10分より、片上常務理事の号令により3回戦が始まりました。














対局が終わると、事務局に報告に行きます。
ここで決勝トーナメントに進んだ選手は、トーナメント1回戦のクジを引きます。


予選3回戦は12時頃に終了し、決勝トーナメントに進む24名が確定しました。
指導対局
本大会では、予選や決勝トーナメント1回戦敗退者のために、指導対局と交流対局の場が用意されています。



早期に敗退しても、プロ棋士による指導対局や他の代表者と対局ができるのはありがたいですね。
指導対局は午前と午後の2回に分けて実施されていました。








決勝トーナメント


トーナメント1回戦
予選3回戦を終え、そのまま決勝トーナメント1回戦に入ります。
決勝トーナメント進出者は、東日本と西日本で各12名。
それぞれ4名のシード選手が出るため、決勝トーナメント1回戦は8名×2(東日本・西日本)の16名で行われます。
12時10分より決勝トーナメント1回戦が始まりました。












決勝トーナメント1回戦が終了し、東日本・西日本それぞれでベスト8が揃いました。
昼食
決勝トーナメント1回戦が終了し、昼食休憩となります。
昼食は選手の分が会場隣の「月山」で用意されていました。


メニューは将棋駒風のハンバーガー。
なかなかのボリュームです。


昼食中の子供達に写真を撮らせていただきました。


昼食の休憩時間は1時間ありました。
この時間に隣の「王将」ホテルまで足湯に浸かり次の対局までリラックスしている選手もいました。
トーナメント2回戦


昼食休憩が終わり、決勝トーナメント2回戦です。
13時30分より対局が始まりました。












14時10分には2回戦が終了し、東日本・西日本それぞれベスト4が確定しました。
決勝大会進出まであと1勝です。
交流対局
13時40分頃から敗退者のための交流対局も始まりました。
指導対局を終えた選手やトーナメントで敗退した選手など10名ほどが交流対局に参加していました。







全国の県代表者と将棋を指すことは貴重な経験です。
せっかくの機会なので、このような場にどんどん参加してほしいですね。
トーナメント3回戦(決勝大会代表決定戦)


東日本・西日本大会最後の対局は、14時20分頃、公文教育研究会の池上代表取締役の号令で始まりました。














最終結果
最後の対局は15時頃に終了しました。
翌日の決勝大会に勝ち進んだのは下記の4名です。
東日本大会(決勝大会進出者)※学年は大会当時
- 土田悠真(6年・新潟)
- 鈴木和空(5年・石川)
西日本大会(決勝大会進出者)
- 北山卓(5年・兵庫)
- 高牟禮楓(6年・広島)
研修会上位であったり、過去の実績がある実力者が勝ち進んできた印象です。
決勝大会に進む4名は、実力を存分に発揮して勝ち上がってきたことかと思います。
逆にこの4名に匹敵する棋力の選手が何人も予選で敗退していました。
勝ち上がるには実力もさることながら運も必要のように思います。
閉会・その後


トーナメント3回戦が終わり、決勝大会に進む4名が決まったところで、東日本・西日本大会は閉会となります。
閉会式には片上常務理事より締めのご挨拶がありました。
- 決勝大会に勝ち進んだ皆様、おめでとうございます。
- 明日もこの場で決勝大会がありますので、今晩はゆっくり休んで体調を整えて頑張ってほしいと思います。
- また惜しくも敗れてしまった皆様も、まだ様々な大会がありますので上位進出目指していただければと思います。
- 公文様や地元天童市の皆さまにはお世話になりまして、ありがとうございました。
最後にNHKの収録もあり、決勝大会に臨む4名の意気込みや抽選の模様が収録されました。




16時には、保護者や子供達も会場を後にして、公文杯第50回小学生将棋名人戦/東日本・西日本大会は終了となりました。


あとがき


東日本・西日本大会
2025年3月29日(土)に開催されました公文杯第50回小学生将棋名人戦の東日本・西日本大会を観戦し、記事にしました。
昨年に引き続き天童での大会を観戦しましたが、連盟職員さんやNHKのスタッフさんがうまく連携を取られており、朝8時過ぎの受付開始から15時の閉会まで無駄なくスケジュール通りに大会が進行しました。
本大会を通して良かった点を下記に記載します。
- スケジュール通りの進行だった。受付から閉会までの全ての進行がスムーズだった。
- 対局結果はリアルタイムで掲示され、状況をすぐに把握することができた。
- 大会以外のイベントも用意されていた。
- 指導対局
- 交流戦
- 保護者も会場に入ることができ、選手の対局姿を見ることができた。
- 会場後方に保護者が座る椅子が十分に用意されており、保護者と選手がゆっくり休むことができた。
- NHKによる香川女流四段のインタビューがあり、記念撮影もあった。
- 選手全員に飾り駒が贈られた。
今回印象に残ったのは、NHKの撮影クルーが入り、所々で選手にインタビューしていたことです。
本大会の模様は5月下旬頃にEテレで放映予定とのことでしたが、インタビューの場面がぜひ本番で使用されるといいですね。
開会式の挨拶で公文教育研究会の池上代表取締役が「思い出に残る風景を」との話をされていました。
天童での大会を通して子供達や親御さんは「思い出に残る風景」を作ることができましたでしょうか。
大会当日、親御さんから一枚の写真をいただきました。
写真は滝の湯の大盤の前で、4人の子供達が将棋をしながら楽しんでいるものです。
大会前日に撮影された写真ですが、子供達はなんとも楽しそう。


全国大会なので将棋の内容も大事ではありますが、この写真のように他県の子供達と交流するなどたくさんの経験をして、「思い出(風景)」を作ってほしいと思います。
この東日本大会・西日本大会を観戦し、数多くの親将さんにお声がけさせていただきました。
多くの親御さんから写真掲載の許可をいただき、また短い時間でしたがお話もさせていただきました。
都道府県を代表する親将さんは皆さんいい方ばかりで、私の話にも快く応じてくださいました。
大会の最中で緊張もされている中で、皆様ありがとうございました。
特に大会前からお世話になったTさん、ありがとうございました。
Tさんの協力がなければ本記事は書けませんでした。
またHさん、Mさん、地元のお土産ありがとうございました。(美味しくいただきました)
またこの公文杯小学生将棋名人戦は、協賛いただいている公文教育委員会様、日本将棋連盟様、天童市様、その他関係者様のお力なくしては開催できません。
関係者の皆様にも厚く御礼を申し上げます。
では、本大会が将棋を指す子ども達のために末永く続くことを祈念しながら、今回の記事を終えたいと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
この記事が参加された皆様の思い出に、また次回以降に参加される方の参考になれば幸いです。




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