2024年8月2日から4日にかけて開催された第45回全国中学生選抜将棋選手権大会を観戦しましたので、その模様を報告します。
・全国中学生選抜将棋選手権大会とは
・第45回(2024年度)全国中学生選抜将棋選手権大会の模様
- 長男(大学1年)と次男(中3)を持つ親将(親将歴13年)
- 日本将棋連盟茨城常南支部役員 広報部長
- 千駄ヶ谷連盟道場初段、将棋ウォーズ二段
- 2022年11月から「こども将棋情報室」のサイトを運営
本記事の選手・保護者の写真についてはモザイク処理を施していますが、一部掲載の許可をいただいた方についてはそのまま未処理で載せています。
全国中学生選抜将棋選手権大会とは
全国中学生選抜将棋選手権大会(以下、中学生選抜)は、中学生三大将棋大会(中学生名人戦、中学生王将戦、中学選抜)の中でも権威ある国内最高峰の中学生将棋大会で、毎年山形県天童市で開催され、今回で45回目となります。
特徴として、地元の公益社団法人天童青年会議所が「青少年の健全育成」、「将棋人口の拡大」、「地場産業の発展」を大会理念として掲げ、本大会を主催されています。
また大会名誉総裁を務めておられる彬子女王殿下もご臨席賜り、その格式ある開会式と閉会式は日常生活ではなかなか体験できない素晴らしいモノになっています。
その他にも参加者同士が相部屋で大会期間中を過ごしたり、将棋大会以外のイベントも企画されていたりなど、参加した中学生棋士にとってはひと夏の思い出として一生に残るような大会です。
まるで修学旅行のような大会です。
全国の中学生棋士にはぜひ一度は参加してほしい将棋大会です。
中学選抜には、公式HPも作られています。
下記に大会要項や歴代優勝者一覧なども掲載されていますので、ご参照ください。
全国中学生選抜将棋選手権大会 – 将棋の聖地天童に集い繰り広げられる中学生将棋大会 (tendojc.com)
この記事では、管理人のダイスが、中学選抜を通して経験してきたこと、大会に参加した次男含む子供達から聞いた内容を記載しています。
来年以降に参加される方の参考に、また本大会に参加された方の思い出になれば幸いです。
8月2日(一日目)
今年は金曜日~日曜日開催
中学選抜は、毎年の開催日が決まっており、8月の2日から4日までの2泊3日で開催されます。
昨年度は2日が水曜日となっており、2日(水)~4日(金)までの開催で、会社勤めの私にとってはなかなか休みが取りづらく、2日から4日までの全工程は妻に任せ、私は2日夜移動、3日観戦・夜移動と一泊二日の観戦としました。
中学選抜のメインは3日(木)の二日目の開会式と大会になるので、さすがにこの日だけは外せません。
私は北関東在住なので、二日目の準々決勝まで観戦して17時頃に会場を後にしても22時には家に帰れたのですが、遠方の方だと一泊二日での参加は厳しいように思われます。
今年は運よく、2日(金)~4日(日)と最高の日程でしたので、2日(金)のみ仕事を休み、2泊3日の全日程を観戦することができました。
天童までの行き方
さて、山形県天童市までの交通ですが、今年は車で行くことにしました。
我が家から天童市までは高速で4~5時間ほどで、電車で行くのとさほど時間的には変わりません。
また自動車だと天童市内の移動も楽なので、夏の炎天下での車は重宝します。
昨年は在来線(最寄り駅から東京まで)+新幹線を使用しましたが、我が家からだと東京に出るのにも1時間程度かかりますし、東京から天童までの新幹線も約3時間かかります。
ここで待ち時間も含めると5時間近くはかかりますので、運転の負担はありますが今年は車で行くことになりました。
ちなみに今回我が家の交通費は、高速料金+ガソリン代を入れて往復2万円ほど。
自宅から天童までの電車代(新幹線含む)が往復26,000円ほどなので、26,000円×3人=78,000円の交通費を考えれば、車の方が断然お得でした。
昨年度大会では遠方の方が8時間ほどかけて車で来られていました。
電車の乗り継ぎが悪かったりするなら、多少時間かけてでも車で行った方がいいかもしれません。
7月25日に発生した豪雨の影響で、山形新幹線が一時不通になっておりました。
幸い、8月2日当日には天童駅までのダイヤは復活しており、新幹線で来られる方々も無事現地に入ることができていました。
天童青年会議所より、7月27日以降公式LINEにて山形新幹線の運行状況と天童駅までのルート案内が頻繁に発信されていました。
大会参加者の方々も新幹線が不通になった中でどのように天童まで行けばいいのか適切な情報源になっていたかと思います。
参加される方々が天童まで無事にたどり着くことができるのか、ご不安やご心配をされている中で、天童青年会議所御担当者様のご対応に感謝申しあげます。
地方の何人かの親御さんにどのように天童まで来られたか聞いてみました。
・ケース①(飛行機で伊丹空港経由で山形空港)
山形空港から天童駅までは予約制の空港ライナーで来られたようです。
個人的には、この方法が一番負担が少ないように思います。
・ケース②(飛行機で伊丹空港経由で仙台空港、在来線を乗り継ぎ天童まで)
仙台空港から在来線を乗り継いで天童まで来るコースです。
仙台空港からでも2時間程度かかるので、少し負担があります。
・ケース③(新幹線で東京又は大宮経由で天童まで)
山陽地方、関西地方、東海地方の方は東京経由で、北信越地方の方は大宮経由で来るコースです。
新幹線の時間は長いですが、乗り継ぎが一回で済むので、割と安心できるルートかと思います。
多くの方がこのルートで来られたように思います。
天童までの行き方については悩ましいですね。
交通費や移動時間なども考慮して、ベストな方法を選択してほしいと思います。
今回の中学選抜では、主催者側からの選手交通費として、参加者のみJR学割運賃の6割分の交通費をいただきました。
参加費が3万円になるので、付き添いの交通費やホテル代も含めるとなかなかの出費になります。
我が家のざっくりとした一例は下記の通りです。ご参考までに。
・参加費:30,000円
・交通費(高速代、ガソリン代):20,000円
・ホテル代(二泊三日、大人2名、朝食付き):50,000円
・その他(食事代、お土産代):14,000円
合計114,000円
・交通費補助:△14,000円
差し引き:100,000円
天童までの道中
中学選抜初日、8月2日(金)の天候は晴れ。
我々は、12時天童着を目指し、朝7時に自宅を出発しました。
常磐自動車道から磐越自動車道に入り、東北自動車道、東北中央自動車道を通って山形県天童市に向かいました。
途中阿武隈高原SAで一度休憩を挟み、予定通り12時頃には天童市に到着しました。
天童のイオンモールで昼食を取り、13時に天童駅に到着しました。
天童将棋交流室
まず我々が向かったのは天童駅直結の天童将棋交流室です。
天童将棋交流室は、天童市が運営する無料の将棋道場です。
翌日の対局に備えて、ここで最終調整を行いました。
次男は13時から16時半頃までおりましたが、翌日の中学選抜参加者含めて強豪中学生にお相手いただき、4局対局させていただきました。
天童将棋交流室には、地元の大人や子供も何人か将棋を指していましたが、中学選抜に参加するお子さんも次男含め6人ほど来ていました。
後から考えれば、この6人全員が翌日の予選リーグを突破しており、内3人がベスト4に進出しました。
この交流室での対局が結果的にプラスになったようです。
私は何人かの親将さんと交流室で初めて会話させていただきました。
お子さんの将棋の歩みや地方ならではのご苦労、翌日の中学選抜の話などをしながら、楽しく過ごすことができました。
ほほえみの宿 滝の湯
16時半に天童将棋交流室を出て、ほほえみの宿滝の湯に向かいました。
中学選抜の醍醐味として、参加する選手は選手同士の相部屋となり、二泊三日を選手同士で過ごすことになります。
親としては、初日の受付を終えれば、3日目のチェックアウトまでは完全フリー。
開会式や閉会式の出席も自由なので、何をしても問題ありません。
とは言え、今までお子さんと一緒に将棋大会に参加をし続けた親将さんにとっては、開会式や閉会式、または対局姿を見られている方が大半だったかと思います。
特に開会式は通常の将棋大会とは違った格式ある催しなので、親としても思い出になります。
一度ご出席してみることをおススメします。
滝の湯ホテルでの受付です。
受付時は自分の名前と都道府県名を告げて、大会パンフレットや名札をいただきます。
またこの時に参加費として3万円を支払います。
最後にリレー将棋のチーム分けを決めるクジを引いて、受付終了となります。
受付が終わり、次男は自分の部屋に向かいました。
相部屋の部屋割りは、地域毎で分けられたようです。
関東の部屋割りで言うと、
群馬、栃木、茨城の三人、神奈川、埼玉、千葉の三人、東京代表の二人が各相部屋となっていました。
この部屋割りは、以前より参加する親将さんとも話題にしていました。
今年は地域毎に分けていました。
受付後の選手の様子
こちらは次男から聞いた話です。
17:00
受付後に部屋に入る。同部屋の参加者に挨拶。
他の二人はだいぶ前に来ていたらしい。
17:30
舞鶴の間に移動。
写真撮影の準備。立ち位置などを確認する。
18:00
選手・関係者で記念撮影。
去年に比べ、今年は早く終わったとのこと。
18:15
蔵王の間に移動し、夕食。
すでに食事が準備されてあり、席が決まっていた。
19:30
舞鶴の間に移動し、開会式リハーサル。
開会式リハーサルは1時間程度。
21:00
部屋に戻る。すでに布団が敷いてあった。
大浴場へお風呂に入りにいく。
21:30
部屋に戻る。
翌日の大会に備え、相部屋の二人と共に22時頃就寝。
次男には夜更かしせずに早めに寝るように伝えていましたが、相部屋の仲間も同じように考えていたようで、優等生的に早く就寝したようでした。
記念撮影の写真は、翌日夜のイベント後に手渡されます。
こちらも思い出になりますね。
抽選会
予選リーグの組み合わせは公開抽選で、滝の湯1Fで15時より行われました。
公開抽選終了後は、すぐにその結果が公式HPに掲載されており、翌日の対局相手が誰がすぐに確認することができました。
公式HPに掲載された予選リーグ表
予選リーグ勝敗表 – 全国中学生選抜将棋選手権大会 (tendojc.com)
16時以降の親将さんの間では予選リーグでどの組に入ったか、初戦の相手などが大きな話題となりました。
天童ホテル
次男の受付が終了し、ほほえみの宿滝の湯を後にした我々は、宿泊ホテルである天童ホテルにチェックインしました。
天童ホテルは過去に数々の名人戦を開催したこともあり、ホテルロビーには名人戦で使用された扇子や将棋盤駒が展示されておりました。
私達が泊まった部屋は和室10畳の部屋です。
部屋から見る北側の景色はなかなかの絶景でした。
夕食、その後
夕食は、予約しておいた焼肉屋「豊」で取りました。
豊は、天童ホテルから徒歩10分ほどの場所にあり、個室で落ち着いて焼肉を食べられる店です。
店員さんの接客応対もよく、また上カルビ、上ロースと食べましたが、どれも柔らかく、洗いダレとの調和も絶妙で上質の焼き肉を堪能することができました。
また天童に行く機会があったら、もう一度行ってみたい焼肉屋さんです。
焼肉 | 焼肉処 豊 | 日本 (yakinikudokoro-yutaka.site)
豊で1時間ほど過ごした後、ホテルに戻った妻と分かれ、私は関東の親将さん二人と水車で合流して、1時間ほど談笑しました。
一度ホテルに戻った後、以前から仲良くさせていただいる地方の親将さんが同じホテルに泊まっていると聞いて、近所のガストに行き、22時頃までここでも談笑していました。
初日は、交流室、水車、ガストと各場所にてたくさんの親将さんと会話ができ、私自身も楽しい一日を終えることができました。
8月3日(二日目)
朝の様子
8月3日(土)も快晴。
天童もなかなかの暑さで朝を迎えました。
私は、5時半に起床し、天童ホテルの大浴場へ。
昨晩も入りましたが、朝風呂もいいもので、目覚めにはぴったり。
朝6時前の大浴場でしたが、10人くらいは入っていました。
朝6時半頃に滝の湯ホテルに行くと、ちょうど選手が朝食会場に来ているところでした。
早起きだったかと思いますが、みなさん元気に食事を取られていました。
後から一人の選手に聞いたところ、朝5時に起床して早すぎたために二度寝したとのこと。
相部屋の仲間全員がそのまま寝てしまい、起きたのは7時過ぎだったとか。
結局朝食抜きで、大会に参加するはめになってしまったとのことでした。
大会初日に朝食抜きはつらいですね。
寝坊しないように気をつけましょう。
ホテルのロビーでは、天童青年会議所のスタッフが朝礼を行っておりました。
綿密に打ち合わせを行ってきたかとは思いますが、中学選抜の成功に向けて最後の確認になります。
滝の湯ホテルのロビーには、中学選抜のタイムスケジュールも貼られていました。
選手の皆さんも予定が確認できるので、タイムスケジュールの掲示はありがたいですね。
7時に一度天童ホテルに戻り、朝食です。
天童ホテルの朝食はビュッフェ形式。
朝からステーキを食べるなど、存分に味わいました。
開会式
中学選抜は開会式前にもリハーサルが行われます。
朝食を終えた選手は、7時45分に会場となる舞鶴の間に集まり、15分ほどのリハーサルを行いました。
私は8時頃に会場に到着。
受付での手荷物検査を行い、会場に入りました。
会場は、中央正面に選手の対局場、後方は保護者席、左手はご来賓の方々や日本将棋連盟・報道関係者、右手は天童青年会議所や地元天童市の中学生スタッフの配置でした。
壇上左側には彬子女王殿下の席、右側には山本天童市長や吉村県知事、羽生会長など大会役員の席になっておりました。
このレイアウトは昨年と同様でした。
8時30分となり、彬子女王殿下もご来場され、いよいよ開会式の始まりです。
開会式の流れは下記の通りです。
- 開会の辞 公益社団法人天童青年会議所 副理事長 武田康正
- 国家斉唱
- 挨拶 大会会長 天童市長 山本信治
- 挨拶 大会名誉顧問 公益社団法人日本将棋連盟 会長 羽生善治
- 挨拶 大会顧問 山形県知事 吉村美栄子
- 挨拶 大会実行委員長 公益社団法人天童青年会議所 理事長 片桐一樹
- 寛仁親王牌返還 大阪府代表 高橋松太郎
- 彬子女王牌返還 群馬県代表 古市灯
- おことば 大会名誉総裁 彬子女王殿下
- 歓迎のことば 天童市立第二中学校 高野伶奈
- 選手紹介
- 天童市立第四中学校 長瀬花
- 天童市立第四中学校 後藤里歩
- 大会心得唱和 石川県代表 辻大輔
- 審判長注意 審判長 公益社団法人日本将棋連盟 九段 深浦康市
- 競技開始号令 審判長 公益社団法人日本将棋連盟 九段 深浦康市
ご臨席された方々は、彬子女王殿下や吉村山形県知事、山本天童市長、羽生善治会長など豪華な顔ぶれです。
この全国中学生選抜将棋選手権大会が権威ある大会であるということがわかります。
挨拶では、彬子女王殿下のお話が特に印象に残りましたので、下記紹介します。
- 父から穴熊を教わり、それが鉄壁の守りだと知り嬉しくなった。穴熊ばかりやっていたら父に叱られた。
- 相手に「負けました」と宣言し、敬意を示すのは将棋ぐらい。
- 相手を理解し、敬意を示すのは社会で生きていく上で大切なこと。この将棋の美しい精神を忘れずにこれからも大切に育んでほしい。
- 一局一局を大切に他府県の出場者との交流を深め、思い出に残る大会になることを祈っている。
- 本日はみなさん頑張ってください。
天童市立第二中学校の高橋さんの「克己復礼」を題材とした歓迎のことばも素晴らしかったです。
選手紹介時には、ピアノ生演奏をバックに天童市立第四中学校の長瀬さん、後藤さんから男子の部・女子の部合わせて99名全員の名前が読み上げられ、紹介されました。
中学選抜の開会式は、彬子殿下のご参列もあって、格式ある開会式になっています。
通常の将棋大会とは違い、国家斉唱、親王牌・女王牌の返還、歓迎のことば、参加者全員の選手紹介、大会心得唱和があり、その厳粛な雰囲気の開会式に多くの親御さんが感動されていました。
中学選抜の開会式には選手を温かく歓迎いただいていることがよく伝わります。大会関係者に感謝ですね。
開会式から第一局の途中まで約1時間ほど会場内の出入りや写真撮影ができません。
また、クーラーがよく効いていることがあり、選手も保護者も長袖の服を着用するなどの寒さ対策をおススメします。
予選リーグ
開会式が終了し、9時20分より深浦九段の号令で第一局が始まりました。
1時間近くの開会式から対局開始までは、そのままの流れで始まります。
開会式で少し疲れがあるかもしれませんが、選手にとっての本番はここからです。
対局開始後の最初の10分程度は、彬子女王殿下や大会関係者が選手の対局している様子を見てまわられます。
彬子女王殿下が退出された後は、保護者の方も会場内の出入りが自由となります。
第45回中学選抜のルールは下記の通りです。
- 4人1組のリーグ戦を行う。
- 2回戦は勝者同士、敗者同士とする。
- 2連勝者は決勝トーナメントへ。2連敗者は失格。1勝1敗者は、隣の組の1勝1敗者と対局する。
- 持ち時間は各20分。使い切ると1手30秒の秒読みとする。
対局を終えると、対局相手と一緒に勝ち負けの報告に向かいます。
遠目に見ているとどっちが勝ったのかがわからないのが将棋ですが、この報告に行く際に、前を歩いている方が9割勝っているのが将棋大会あるあるです。
本大会の持ち時間は20分。切れたら一手30秒の秒読み。
将棋大会としては、比較的持ち時間が長く設定されています。
よって、対局が長引くところも出てきます。
対局開始後40分ほど経過しましたが、会場の4分の一はまだ対局が続いていました。
予選リーグ第二局は10時35分より始まりました。
同じリーグの中で、勝者同士、敗者同士の対局になります。
予選リーグ2局が終わり、2勝通過者、1勝1敗者、2敗失格者が決まります。
1勝1敗者は、予選リーグ3局目で予選リーグ突破をかけて隣のリーグの1勝1敗者と対局します。
予選リーグ3局目は、11時50分より始まりました。
会場外には、対局結果の表が貼り出されていました。
対局結果は、リアルタイムで公式HPでも更新されており、貼り出しよりも公式HPの方が早かったようにも思います。
保護者の席は会場後方にあります。
席が余るほど十分な座席数が用意されており、余った席は荷物置きにも使用でき、座席数が多いのはありがたかったですね。
写真は、予選リーグ3局目に撮影されたものなので、全体3分の1の保護者の方が3局目の対局を見守っておられました。
保護者の方の中には、この時間帯に道の駅まで買物に出られたり、滝の湯ホテルの温泉に入ったりなど自分の時間に当てている方もおられました。
保護者の方の過ごし方は様々です。
13時頃に予選リーグ3局目が終了し、午前の対局が終わりました。
昼食
選手の昼食はお弁当です。
12時過ぎより蔵王の間で選手のお弁当が配布され、その場で食事しても部屋で取ってもOKでした。
多くの子供達は蔵王の間で食事をしているようでした。
私達は、予選リーグ3局目を見届け、親将さん達と5人で、近くの生そば水車に行きました。
個人的には昨夜も水車に行ったので、今回2度目です。
13時頃に水車に行きましたが、列に並び、10分ほどでテーブルにつくことができました。
私は名物「鳥中華」を頼みましたが、てんぷら蕎麦や王将蕎麦など、みなさんそれぞれの昼食を堪能していました。
決勝トーナメント
13時40分頃に予選を突破した選手は会場に集まり、決勝トーナメントのクジを引きます。
クジは一人一人が呼ばれ、また同じ都道府県同士で当たらないように工夫がされていました。
決勝トーナメント1回戦は、13時55分より開始されました。
この時間より、予選リーグ敗退者を対象にプロ棋士による指導対局が朝日の間で始まりました。
また同会場では練習対局場も設けられており、対局やリレー将棋を楽しんでいる選手などが見られました。
会場外では、株式会社デンソーFA山形が開発したロボットの「電王手桜将」と詰将棋ロボットが展示されており、子供達が挑戦していました。
また1回のロビーでもリレー将棋を楽しむ選手の姿があり、大会を通して知り合った仲間達と楽しんでいる様子が見られました。
決勝トーナメントは少し予定より遅れながらも進行していきます。
2回戦:15時開始
準々決勝:16時10分開始
準決勝:17時30分開始
熱戦が続きながら、いよいよ準決勝です。
男子の部・女子の部共に上位4名に絞られました。
準決勝は、男子の部・女子の部共に大熱戦で、多くのギャラリーが集まってきました。
どちらが勝つかわからない大接戦にギャラリーも固唾(かたず)をのんで見守ります。
18時30分に準決勝が終了し、翌日の決勝戦に進む男子の部二名、女子の部二名の計四名が決定しました。
夜のイベント
初日の対局が終了し、夜の部に入ります。
19時前より蔵王の間で夕食、その後19時40分頃より祥鶴の間にて、45周年記念事業であるイベントが開催されました。
イベントは二部構成で、ぐるぐる将棋とリレー将棋のチーム戦。
昨年は選手のみのイベントでしたが、今年はなんとプロ棋士5名もこのイベントに参加いただきました。
参加されたプロ棋士は下記の通りです。
- 羽生善治会長
- 深浦康市九段
- 田中悠一六段
- 貞升南女流二段
- 砂原奏女流2級
昨日の受付時にクジを引いて男女混合7~8名のチーム分けが行われており、このイベントはそのチームでぐるぐる将棋とリレー将棋を行います。
まず第一部として、プロ棋士5人とチーム12組によるぐるぐる将棋が行われました。
プロ棋士もそうですが、選手も7~8人一組なので、自分の指した手から次に回ってくるまでに随分と局面が変わっていきます。
プロ棋士の方々含めみなさん一様に楽しまれたようでした。
続いてリレー将棋です。
このリレー将棋は、チーム戦でチーム内で順番に指していくのですが、今回はプロ棋士の方々もチームにご参加いただきました。
羽生会長含めプロ棋士と同じチームでリレー将棋を指せるなんて、夢のような企画です。
リレー将棋は2局行われました。
まずはチーム内での作戦タイムです。
特に大事なのは戦型。
居飛車か振り飛車か、囲いはどうするかなど、それこそプロ棋士の先生含めて相談します。
また天童青年会議所のスタッフもチームに一人付いてサポートしていただいています。
リレー将棋の2局が始まりました。
リレー将棋は、男女同士、またプロ棋士の先生方も含めてみなさんワイワイ楽しそうに指していました。
対局時間が限られているので、制限時間内に対局が終了していない場合は、リーダー同士のジャンケンで勝敗を決めていました。
最後のジャンケンで勝敗が決まるケースも多かったです。
リレー将棋ですが、保護者の見学は自由でした。
観戦されている保護者も多く、記念撮影をしているチームもありました。
最後にはプロ棋士の方々にイベントの講評をいただき、21時30分に終了となりました。
ご参加いただいたプロ棋士の方々には拍手でお見送りしました。
プロ棋士も参加してのリレー将棋は選手にとってもいい思い出になったかと思います。
夜のその後
次男に聞いた二日目夜の話です。
まずはお風呂。
30分ほどで部屋に戻った後に、誘われていた選手の部屋にお邪魔したとのことでした。
22時半頃に次男含め9名の男子が集まり、途中部屋を移動したりもしながらも、深夜1時頃まで将棋をしたり、会話したりで楽しんでいたとのことです。
この中には翌日の決勝戦を控える選手もいましたが、その選手は23時半頃に先に帰らせたとのこと。
この会で仲間意識が芽生えたのか、翌日の決勝戦はみんなで応援していたとのことでした。
この夜の時間が次男にとってはとても楽しかったようでした。
大会を通して選手同士で二泊三日を過ごし、将棋大会だけでない貴重な経験ができたのではないかと思います。
8月4日(三日目)
決勝戦
大会三日目
8月4日(日)も天童市内は快晴でした。
大会期間中は天気に恵まれ、移動しやすかったです。
7時からの天童ホテルでの朝食を済ませ、8時に会場入りしました。
会場では決勝戦を前にして、すでに選手が前方席に座り、後方には保護者の方々も観戦に来られています。
決勝戦は男子の部が滝の湯ホテルの443号室で、女子の部は445号室で行われました。
この決勝戦には、彬子女王殿下、羽生会長もご観覧に来られたとのことです。
また三位決定戦は男子の部・女子の部と合わせて、444号室で行われました。
8時10分より、司会の砂原女流2級、解説の田中悠一六段が壇上に上がりました。
壇上は、男子決勝戦のモニターが左側、真ん中の大盤が男子決勝戦用、右側大盤が女子決勝戦用となっています。
8時15分に決勝戦の対局が始まりました。
砂原奏女流2級は大盤解説の司会が初めてとのことでしたが、初めてとは思えないほど田中六段との息もぴったりで、上手に大役をこなしておりました。
左側のモニターには、男子の部決勝戦の現局面も映されています。
壇上では、男子の部決勝と女子の部決勝の大盤解説を交互にやっていきます。
男子の部・女子の部共に激戦の決勝戦でしたが、9時30分頃に終了しました。
最終の結果は下記の通りとなります。
第45回全国中学生選抜将棋選手権大会 入賞者(敬称略)
- 男子の部
- 優勝 山下雄万(香川3年)
- 2位 岩田新平(大阪1年)
- 3位 三浦寛人(山形3年)
- 4位 森寛仁(福岡2年)
- 女子の部
- 優勝 華房永茉(愛知1年)
- 2位 内木場千咲(宮崎2年)
- 3位 川添瑞穂(佐賀3年)
- 4位 太田理咲子(広島1年)
男子の部は入賞者全員が研修会B1の実力者。
また女子の部優勝の華房さんも東海研修会C2に在籍しており、本大会は研修会員の強さが目立ちました。
入賞された皆さん、おめでとうございます。
閉会式
10時より表彰式を兼ねた閉会式が始まりました。
決勝戦を観戦していなかった保護者の多くもこの閉会式に出席されていました。
彬子女王殿下もご臨席いただき、開会式同様厳粛な雰囲気の中で閉会式が行われました。
- 開会の辞 公益社団法人天童青年会議所 常任理事 伊藤光
- 挨拶 大会会長 天童市長 山本信治
- 挨拶 大会名誉顧問 公益社団法人日本将棋連盟 会長 羽生善治
- 成績発表
- 男子の部 副審判長 公益社団法人日本将棋連盟 六段 田中悠一
- 女子の部 副審判長 公益社団法人日本将棋連盟 女流二段 貞升南
- 寛仁親王牌授与 大会名誉総裁 彬子女王殿下
- 彬子女王牌授与 大会名誉総裁 彬子女王殿下
- 各賞授与
- 男子の部 優勝、準優勝、第3位、第4位
- 女子の部 優勝、準優勝、第3位、第4位
- 審判長総評 審判長 公益社団法人日本将棋連盟 九段 深浦康市
- 閉会の辞 公益社団法人天童青年会議所 副理事長 関東英之
10時40分頃に閉会となり、中学選抜の全日程が終了となりました。
大会終了後
私個人は、会場内で親将さんや子供達と会話をしながら、11時過ぎに会場を後にしました。
帰りには、天童青年会議所の片桐理事長、門脇委員長と談笑。
会場前で親将さんや子供達と一緒に写真も撮らせていただきました。
大会終了後はお土産を買いに、道の駅天童温泉まで行きました。
道の駅天童温泉までは滝の湯ホテルから車で3分、徒歩で10分ほどです。
我々の他にも大会参加者の親子が道の駅に寄られていました。
店内のソフトクリームは種類も豊富で暑い夏にはぴったりです。
天童市を出たのは、12時30分。
途中2回の休憩を挟み、家に着いたのは17時頃でした。
第45回全国中学生選抜将棋選手権大会あとがき
第45回中学選抜は、大きなトラブルもなく、二泊三日の日程を終え、無事に終えることができました。
中学選抜は、単なる将棋の全国大会ではなく、親元を離れた選手同士の二泊三日間を通して、友情を育み、まるで修学旅行のような経験ができるように思います。
その証拠に次男は多くの選手と顔見知りになり、また複数の選手とは将棋ウォーズのアカウントやLINE交換も行いました。
また一週間後に開催された中学王将戦でも中学選抜で会った選手と会話し、お昼を共にするなどしていました。
次男だけでなく、男女問わず他の選手も同様のことが行われていたと想像します。
将棋をやっていれば、また高校生でも大学生でも社会人になってからでも、天童の地で会った仲間とどこかで再会することもあるかと思います。
その時にこの天童で体験したことが活きていれば嬉しい限りです。
本大会の良かった点を下記にまとめてみました。
- 彬子女王殿下が臨席される厳粛な開会式・閉会式。(開会式に感動する。)
- 公式LINEアカウントから、大会前より本大会の情報が得られる。
- 予選リーグや決勝トーナメントの結果は、タイムリーに大会公式サイトで確認できる。
- 選手同士の相部屋のため、自立を促し、参加者同士の交流が生まれる。
- 予選リーグで敗退してもプロ棋士による指導対局が受けられる。
- 2日目夜にリレー将棋のイベントあり。プロ棋士も一緒になって男女混合の団体戦を楽しめる。
- 決勝戦は大盤解説会あり。ライブで決勝戦の模様を観戦できる。
- 受付時から閉会式まで天童青年会議所のスタッフが大勢で対応されており、進行がスムーズだった。
選手同士の相部屋のため、部屋内や会場での忘れ物が多かったようです。部屋を出る時は忘れ物がないか確認しましょうね。
本大会では、天童青年会議所、日本将棋連盟、天童市の皆様には大変お世話になりました。
私自身は昨年も参加させていただいておりました。
基本的な流れは昨年と変わりはありませんでしたが、コロナで一時中止となっていた選手同士の相部屋が今年から復活し、大会理念の一つ「青少年の健全育成」が重視された大会運営になっていたように思います。
ひとえに、本大会を企画・運営されていた天童青年会議所の皆様一人一人が大会前の事前準備から本大会の終了まで奮闘された結果かと思います。
大会の一ヶ月前からメールや電話にてご確認の連絡をいただいたり、豪雨災害により山形新幹線が不通になっている際には天童までのルート案内を公式LINEにて何度もご連絡をいただきました。
大会期間中も初日の受付、リハーサル、大会中、リレー将棋のイベント、大会終了後の見送りまで常に天童青年会議所のスタッフの皆様が選手や我々の周りにおられ、サポートされていました。
この場を借りて片桐理事長を初めとする天童青年会議所の皆様に厚く御礼を申し上げたいと思います。
ありがとうございました。
今回は、第45回全国中学生選抜将棋選手権大会の模様を記事にしました。
この記事が大会に参加した保護者・選手の思い出になり、また次回以降に参加する保護者・選手の参考になっていれば幸いです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
コメント
コメント一覧 (2件)
この大会からひと月経ってすっかり日常に戻っていたところに記事を拝見して、抽選会で組み合わせが読み上げられるたび耳を澄ませてメモしたこと、対局を見守って会場で手に汗を握ったことなどがまざまざと思い出されました。
羽生会長が普通に会場を歩いておられる姿に夢を見ているような気分になったことも。
道の駅も果物やお土産品が充実してますよね。
将棋駒製作実演ブースがあり、駒キーホルダーに名前を彫ってもらえるとのことでオーダーして帰りました。
「こんなに職人が減っちゃってね・・・」とのお言葉が印象に残りました。
いつまでも将棋の聖地であり続けてほしいものです。
中学選抜は将棋の勝敗だけにとどまらない素晴らしい大会ですよね。
詳細な記事をありがとうございました。
天童が懐かしくなったらまたのぞきに来させていただきます。
鳥中華に感激さん
記事を見ていただき、またコメントまでありがとうございました。
道の駅天童温泉、行かれましたか!
お土産も充実していますが、将棋駒制作ブースも見どころありますよね。
ぜひ天童に行かれた方には寄ってほしいスポットです。
中学選抜はお金はかかりますが、子供達にとっては将棋大会だけではない最高の思い出が作れますし、それだけの価値はあるかと思います。
ぜひ全国の中学生将棋キッズにはこの大会を目指して頑張ってほしいものです。(特に女子はチャンス!)
親将さんも鳥中華食べてほしいですね(笑)