親将録(千駄ヶ谷連盟道場編②)金の卵達

2012年1月、長男君が幼稚園年長で15級から通い始めた千駄ヶ谷連盟道場。

この道場には幾度となく長男君・次男君と通ったのですが、そこでは将来プロ棋士になりそうな(実際なった)多くの子供達が腕を磨いていました。

この記事では、長男君の10級までの昇級記録や連盟道場で出会った才能豊かな子供達の思い出を紹介していきます。

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ダイス
  • 長男(大学1年)と次男(中3)を持つ親将(親将歴13年)
  • 日本将棋連盟茨城常南支部役員 広報部長
  • 千駄ヶ谷連盟道場初段、将棋ウォーズ二段
  • 2022年11月から「こども将棋情報室」のサイトを運営
目次

10級までの昇級

昇級・昇段規定

2012年1月より連盟道場に通い始めた私達親子ですが、連盟道場には明確な昇段・昇級規定があり、その条件を満たすと一つ上の段級に上がります。

連盟道場の昇段・昇級規定は下記の通り。

段・級連勝勝敗
15級~10級へ3連勝
9級~5級へ5連勝8勝2敗
4級~1級へ7連勝10勝2敗
初段へ8連勝13勝2敗
弐段へ10連勝14勝2敗
参段へ12連勝15勝2敗
四段へ15連勝18勝2敗
五段へ18連勝24勝2敗
六段へ25連勝35勝2敗

この規定を見ると、下の方は上がりやすく、段になると一つ上がるだけでもなかなか大変です。
それこそ六段は、25連勝または37局やって35勝2敗とほぼ無双状態にならないと達成できません。

ダイス

五段もなかなかいませんが、私は過去に六段を2人見た事があります。
一人は教室の先生で、もう一人は当時小学五年生(現奨励会員)でした。

強くなればなるほど段級が上がっていく、このわかりやすいシステムの中で子供達はまずは初段目指して腕を競い合っていました。

昇級の連続

さてこのような昇段・昇級システムの中で、連盟道場に通うことになった長男君。
当時の記録を見ると、連盟道場には月に3回ほど通っていました。

中には週二日の土日で毎週通っている熱心なお子さんもおり、まさに将棋漬けの毎日を送っています。

ダイス

親御さんも熱心にサポートされており、いつも道場の脇の椅子で見守っておられました。

我が家は連盟道場までそこそこ距離があるので、毎週のようにはなかなか行けません。
しかしながら、行った時は午前中から夕方までできり限り長い時間、たくさんの対局をするようにしていました。

そんな長男君ですが、前回の記事では、二回目の道場(1/15)にて3連勝し、14級に上がれたことを記載しました。

昇級規定が3連勝のみなので、運がよければまた次も上がれるのではないかと期待して行った3回目の2月5日。
この日は長男君が絶好調で、本人も驚くような成績で一気に10級まで上がることができました。

長男君10級までの昇級記録
  • 1/8 15級(認定)通算8勝6敗
  • 1/15 14級(3連勝)通算13勝13敗
  • 2/5 13級(3連勝)通算4勝1敗
  • 2/5 12級(3連勝)通算7勝2敗
  • 2/5 11級(3連勝)通算3勝0敗
  • 2/5 10級(3連勝)

2月5日はトータル24局指して、18勝6敗でした。
その間に3連勝が4回あり、14級から10級まで一気に上がることができました。

家での詰将棋やネット将棋などの勉強法が棋力向上に大いに効果があることがこの成績で実感することができました。

ダイス

スピード昇級で、ますます私自身が親将としてのめり込んでいきます。

今思うと10級以下は昇級規定が緩いので、多くの親将さんも少なからず似たような経験をされているように思います。
とは言え、当時私も親将歴半年の若造。
長男君の昇級スピードに「才能があるのでは」と親バカなりに勘違いしたものでした。

ただ、連盟道場には、長男君と比較にもならない才能あふれる子ども達がわんさかおりました。
私が2級~初段レベルだったので、そのような金の卵達と数多く対局していきます。

金の卵達

才能豊かな子供達

長男君がわずか1ヶ月で15級から10級に昇級し、幼稚園年長で10級はなかなかのものではと思っていたところ、連盟道場には同年代ですごい子ども達がたくさんいました。

長男君と同じ幼稚園年長で、私が何度か対局したのは、東京のKO君。
12月に私が初めて対局した時はすでに2級で、その後1年生で初段になっていました。

その後も会う度に二段、三段と昇段していき、数年後には初段の私とKO四段の角落ち。
おそらくKO君は4年生だったかと思いますが、角落ちでもきっちり負かされてしまいました。
KO君はこの後も勝ち続け、五段に昇段していたように記憶しています。

長男君とは同学年ながらもいつも一つ上のステージにいたKO君は今や奨励会三段。
プロ棋士まであと一歩と言う所まできており、陰ながらずっと応援しています。

長男君と同学年の幼稚園年長で、1級のTA君(神奈川)もいました。
TA君もKO君よりもさらに早く昇級・昇段していき、2年生ですでに三段にまでなっていたように思います。

特に1年生で初段に上がった時は、神奈川県大会や子供大会でも活躍しており、当時「スーパー一年生」と同県では一目置かれる存在となっていました。

また一学年上では神奈川のNI君、東京のKA君も連盟道場に来ていました。
特にNI君はテーブルマークこども大会で連続優勝、倉敷王将戦でも全国優勝と大活躍をされており、将来有望で言えば当時の中では一番だったように思います。

KA君と私は当時1級同士で対局し、終盤まではいい勝負だったのですが、最後に私が逆転負け。
これも印象深い一局でKA君との対局は思い出に残っています。

KA君は小学生将棋名人戦で全国三位。
その後奨励会にも入り、現在は三段まで昇段しています。
KO君同様に私が奨励会委員で応援している一人です。

吉池四段

昨年10月に三段リーグを突破し、見事プロ棋士となった吉池隆真四段は長男君の一つ上で、当時小学1年生でした。
将棋を始めた時期は長男君と同じ頃だったようで、過去の対局表を見ると、2/5に長男君12級時に吉池14級と対局していました。

吉池少年は、とてつもないスピードで昇級していったようで、同年9月にはすでに1級まで昇級し、同じ1級の私は負かされています。
同じ頃長男君は4級だったので、吉池四段の昇級スピードがいかに速かったかがわかります。

記憶に残っているのは二段だった吉池少年に最終盤で大逆転負けをし、感想戦で勝ち筋を教えていただいたこと。
勝ちそうだとはわかっていたのですが、その筋がなかなか見えない。
私が大長考に沈んだ後に指した手がまずく、吉池少年の的確な読みに感心させられました。
当時はまだ小学三年生ぐらいだったかと思いますが、あの時の眼鏡をかけた少年がプロ棋士になったことに嬉しく思っています。

あとがき

長男君は連盟道場1ヶ月で15級から10級と5級分昇級していき、連盟道場では順調な滑り出しとなりました。

連盟道場では長男君と同世代の子供達もたくさん来ており、強い子ども達は長男君よりも遙かに速いスピードで昇級・昇段を重ね、あっという間に初段となり、その後三段・四段と駆け上がっていきました。

上記紹介した子供達は全員奨励会入りし、内一人はプロ棋士に、二人はプロ棋士まであと一歩の所まで来ています。

もう10年以上も前ですが、私や長男君と同じ空間で切磋琢磨してきた少年達がその後も努力を重ね続け、より高みを目指していることに感慨深いものを感じます。

あの頃の少年達はもう二十歳前後。立派な大人になっているかと思います。
何人かの少年は現在奨励会三段。
厳しい三段リーグかと思いますが、なんとかプロ棋士になれるように陰ながら応援しています。

次回は連盟道場における親将の話を書いていこうと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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