【将棋本感想】加藤幸男著「才能に頼らない こども将棋上達法」

将棋を指す子どもを持つ親御さん(親将)向けに書かれた本「才能に頼らない こども将棋上達法」を読みましたので、完全主観で忖度なく感想を記事にしたいと思います。

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ダイス
  • 長男(大学3年)と次男(高校2年)を持つ親将(親将歴15年)
  • 日本将棋連盟茨城常南支部役員 広報部長
  • 千駄ヶ谷連盟道場初段、将棋ウォーズ三段
  • 2022年11月から「こども将棋情報室」のサイトを運営

この記事はこんな人向けに書かれています。

  • 親将
  • 子ども将棋教室関係者
  • 将棋に興味のある親御さん
目次

前書き

2026年6月、かむがふ将棋教室の加藤幸男先生が一冊の本を出されました。

才能に頼らない こども将棋上達法

将棋を指すお子さんを持つ親将さん向けに書かれた本です。

実際私は親将の立場で長男・次男と15年間こども将棋に向き合ってきました。
残念ながら長男は現在将棋から離れていますが、次男はいまだに将棋を続けており、アマチュア将棋界の中で今なお成長しているように感じます。

長男が年長で将棋を始めた時は、私自身は千駄ヶ谷の連盟道場で3級の棋力。
一般の人からするとアマチュア3級はなかなか強い部類に入るかと思います。

よって私はある程度「将棋」というものを理解しており、長男に教える際もなんとなくこのように勉強すれば子どもは強くなるかなというものは持っていました。
3年後に次男も将棋を始め、長男の時に得た親将としての経験をさらに活かし、より効率的に将棋を教えられたように思います。

そんな私が、「才能に頼らない こども将棋上達法」を手にしました。
息子達と向き合っていた「将棋上達法」との一致点や新たな発見ができればいいなと思い、本のページをめくった次第です。

この記事では、「才能に頼らない こども将棋上達法」をまだ読んでいない方(特に親将の方)向けに本書がどのような内容なのか、また私ダイスが親将の目線で感想も書かせていただいています。

将棋を指す子どもさんを持つ親将さんの参考になれば幸いです。

こちらのリンクからAmazonのサイトに飛べます。

本の構成

「才能に頼らない 将棋上達法」の構成は下記全5章になっています。

  • 第一章:将棋を学ぶ価値
  • 第二章:将棋の学び方が求められる背景
  • 第三章:棋力を伸ばす将棋の学び方
  • 第四章:棋力を出し切る考え方
  • 第五章:親子の成長につながる保護者のサポート

上記5章は大まかに分けて3つに分かれます。

「将棋とは?」が書かれてる第一章、第二章。

この二つの章では、
・将棋とは何か
・将棋を通してどのような力が得られるのか
が主に書かれています。

実際に将棋が強くなった子は、進学校や有名大学に入る割合が高いです。
将棋を通して得た経験が学業に多少なりとも影響している、私もそう感じています。

第三章、第四章はこの本のメインテーマ「将棋上達法」や「対局時の心構え」が書かれており、将棋を効率よく強くするノウハウが書かれています。
この本を手に取られた方の大半がこの二つの章を目的に本を買われたものかと思います。

最後の第五章は、親将のサポート方法や子どもへの接し方が書かれています。
親将の取り組み方について書かれた本は今までなかったと思いますので、この章も親将にとっては貴重な章になっています。

ダイス

目次を見るだけでも、親将さんが参考になるような項目が並んでいます。

第一章:将棋を学ぶ価値

ママ将

子どもが将棋に興味を持ったのですが、私は将棋に触れたこともなく全くわかりません。
これからどうしたらいいですか?

第一章の冒頭がこのような親将さんの悩みから始まります。

第一章では、将棋について下記のようなことが書かれています。

・将棋とはどのようなゲームか
・将棋を通じて多面的な頭の使い方が経験できる
・戦略的に考える力が養える
・自分の考えや個性を盤上で表現できる
・人生のあらゆる場面で役立つ経験学習のサイクルを学べる
・あらゆる世代の人とつながることができる
・非認知能力が養える

全体的には様々な背景から将棋を学ぶ意義について書かれおり、将棋に興味のある親御さんや、将棋について触れた事のない親将さんも理解しやすい内容になっています。

ダイス

私自身「多面的な力」や「非認知能力」についてはなんとなく感じてはいたものの、初めて言語化された文章で理解できました。

ママ将

将棋は全くわからなかったのですが、とてもわかりやすい文章で簡潔に説明しているので、読みやすいし、なにより将棋というゲームを理解できました。

将棋は、年齢関係なくあらゆる世代で楽しめるゲームです。
息子達も感想戦を通じて大人とのコミュニケーションの方法を学びました。
高校生から大学生ぐらいになると、将棋を指してきたお子さんはコミュ力が高い印象です。

第二章:将棋の学び方が求められる背景

第二章では、将棋の学び方が実生活でも活きる点について書かれています。

本書の他の章に比べると地味な内容に思われるかもしれませんが、第3章の将棋上達法を読む前の前提として押さえておくべき事が書かれています。

・学び方と考え方は能力に勝る
・情報過多の時代に将棋に必要な情報を選び取る力
・限られた時間の中で効果的・効率的な将棋の学び方
・何を基準に将棋の学習法を選ぶのか
・保護者の併走・役割

子どもに将棋を学ばせる数ある手段として何を選択すべきか、その基準は何か、そのような事が書かれています。

私が特に印象に残ったのは、最後の「保護者の併走」に書いてある言葉。
将棋に取り組む子供にどのような声がけをしたらいいのか。
答えは本章の中に書かれていますが、私もずっとやっていた声がけと共通していたので、この部分も参考になるように思います。

ダイス

強くなっていくお子さんの親将さんは穏やかな人が多く、温かく見守っている人が多いです。

第三章:棋力を伸ばす将棋の学び方

第三章の主な内容

ここからが本書のメインテーマ「こども将棋上達法」の話です。

第三章には本書の半分以上を占める200ページが割かれており、まさに将棋の学び方・勉強の仕方が書かれています。
主な内容は下記の通りです。

・棋力を把握する。(棋力を把握する方法とは)
・上達のサイクルを回す。(対局⇒振り返り⇒練習⇒対局⇒・・・・)
・一つの対局での9つのプロセス(序盤・中盤・終盤)
・まずは「読みの力」を鍛える
・初心者・初級者・中級者はそれぞれどうやって勉強すべきか
・対局数・対局場所(道場・オンライン・大会・教室)の考え
・研修会にはどのタイミングで入会するのがいいのか
・対局後の「振り返り」をどうやってやるのか(棋譜取り、指導者の役割や選び方)
・終盤について(詰将棋練習法、勝ち切る力)
・「読みの力」を鍛える(読みの蓄積)
・序盤について(定跡を学ぶ理由、定跡の意味を理解する)
・駒落ちを学ぶ意味
・戦法の選択(戦法の性質・戦法の追加について)
・中盤の学び方
・棋譜並べ練習法

ざっと第三章に書かれている主な項目を私なりの解釈で並べてみました。

どうでしょう。
「子どもを強くさせたい!」と願っている親将さんなら、上記項目に目を通しただけで、本書を読み、実戦したくなるかと思います。
私も上記を読んで「なるほどな~」と何度つぶやいたことか。

将棋を学ぶ基本的な方法が上記に書かれていますが、私が特に印象だったのは、以下3点です。

棋力の把握

ママ将

息子が教室で二段と認定されて、初段~三段の大会に参加しましたが、一つも勝てませんでした。
本当に二段?

本書にも書かれていますが、将棋をする上で、棋力の把握はとても重要です。
今どれくらいのレベルなのかがわからないと、レベルにあった将棋の上達法を実践できないですし、大会でどのクラスに参加すればいいのかもわからなくなります。

本書では、棋力をどうやって把握するのか、その目安となる道場や将棋アプリの段級換算表が載せてあります
私の感覚とも一致していますので、この段級換算表を見てお子さんの棋力を把握されればいいかと思います。

余談ですが、息子の場合は連盟道場をメインの道場としていましたので、そこで認定された棋力で、大会のクラスに参加していました。
連盟道場の認定は厳しめでしたので、大会では勝ち越せることが多かったです。
ちなみに私はウォーズ10切れ三段で、連盟道場では初段です。
本書で書かれている段級換算表とまさに一致しています。

ダイス

通っている教室で認定された棋力が一般的な棋力と合っているかどうか、81道場や将棋ウォーズもやりながら本書の段級換算表で確認していけばいいかと思います。

研修会の入会について

本書では研修会の入会についてそのタイミングが書かれています。
地方の親御さんの話では、周りに強い子が少ないため、遠方ながらも研修会に入会させたという話をよく聞きます。

研修会に入会すべきか、またその棋力やタイミングについて書かれていますので、研修会入会を検討されている親御さんには参考になるかと思います。

私の息子は研修会の経験がありません。
周りのライバルが研修会に入る中で、研修会に入会しなかった理由が何点かあります。

・息子がプロ志望でなく、研修会に興味がなかった。(奨励会に入る意思がなかった)
・当時の連盟道場には、四段レベルの相手までたくさんいた。(連盟道場で研修会Cクラスレベルまでの相手と指せた)
・通っていた他県の教室にも強い子がたくさん来ていた。
・費用対効果が小さかった。(連盟道場や大会に出る方がいいと考えていた)

5~6年前と今とでは状況も変化しており、上記理由は当てはまらないかもしれません。

現在連盟道場に強い方が減ったということも聞きますが、連盟道場以外にも東京には御徒町道場や蒲田道場にもアマの強豪がたくさん来場されています。そちらでも研修会と同じくらいの強い方はたくさんいるようにも思います。

もし、息子が「奨励会に入りたい!」と言っていれば、間違いなく研修会に入会させていたようにも思います。
本書もそうですが、私の経験も参考になれば幸いです。

棋譜取りについて

振り返りの方法として、棋譜取りが推奨されています。
勝っても負けても棋譜取りを習慣化し、振り返りの材料とすることの重要性が書かれています。

本書でも棋譜取りの方法やその効果について20ページ以上が割かれており、効果のある将棋上達法であることがわかります。

実際、アマ強豪の方々を見ても、対局後に棋譜をスマホのソフトに入力して振り返りをしている方が多いです。
棋譜取りを実践し、振り返りを行う習慣があるからこそアマ強豪として活躍されているのだと思います。

息子の場合は中学生に入った頃からスマホへの棋譜取りをちょくちょく始めましたが、もっと早い段階から棋譜を取る習慣を身に付けていればと思います。
ただし、5年以上前はぴよ将棋もあったかなかったぐらいで、まだ一般的にスマホに棋譜を入力するような習慣はなかったようにも思います。
棋譜の振り返りの方法としてのスマホ入力は今の時代ならではの上達法で、昨今の小学生・中学生のレベルがより上がっているのもその影響ではないかと思います。

第三章の将棋上達法は、その他にも参考になるような内容が盛りだくさんです。
将棋上達の方法論を把握して実践していれば、していない子と比べても、1年で目に見える差となって表れるように思います。

第四章:棋力を出し切る考え方

第三章では、将棋の勉強法が書かれていました。
次の第四章は、将棋に向き合う姿勢や考え方について述べています。

確かに第三章の上達法を実戦していても、対局姿勢だったり考え方が誤っていれば、成長のスピードは遅くなります。
将棋に向き合う考え方については、以下のような内容が書かれています。

・将棋を楽しむための3つのポイント
・上達するためには周りの力が必要。仲間やライバルを持つこと
・自分の頭で考える
・変化する勇気を持て
・「慢心」しないようにするためには
・勝敗をどう受け止めるか
・決して倒れない、粘ることの重要性
・努力を自信に変える

第四章で書いていることを上記並べてみましたが、将棋に対する心構えが主となっています。
どれも参考になることばかりですが、特に印象的だったのは、「自分の頭で考える」ということ。

加藤先生はよく、「脳に汗をかけ」と言います。
対局中でも詰将棋でも棋譜並べでも、考えて考え抜いた分将棋の経験値として積み上がってきます。
加藤先生が言われる「脳に汗をかいた」分強くなれるのです。
そのためには難しい局面でソフトをかけて簡単に答えを見つけるのではなく、自分なりに考えて結論を出す、脳に汗をかくことが後々強さになって表れるのだと思います。

第五章:親子の成長につながる保護者のサポート

パパ将

最近子どもが将棋に夢中になっているので、親としてはサポートしてあげたいです。
どんなサポートが必要ですか。

ダイス

第五章では保護者のサポートについて書かれているので、参考になるかと思います。

本書を手に取られた方の多くは将棋を指す子どもさんを持つ親御さん、いわゆる「親将」さんかと思います。
第五章ではその親将がどのように子どもをサポートしたらいいのかが書かれています。

親将のサポート方法が書かれている書籍はないので、この章もとても新鮮で参考になることばかりが書かれています。

・学習効果が高いのは親子の取り組み
・子どもは指導者よりも親から強い影響を受ける
・保護者の役割は環境を作ること
・詰将棋などの練習につき合ってあげる
・保護者はどんな声がけが大事なのか
・子どもの心(精神面)を管理する
・継続できた子どもが伸びる、保護者は継続できるまでつき合う

第五章を読んで、私自身も息子に詰将棋や次の一手などの問題をよく出したり、一緒にNHK将棋トーナメントを見たり、家でもそれなりの取り組みをやってきました。
先輩の親将さんから大会や教室の情報を得て、息子と一緒によく出掛けていました。

今から思えば一緒に取り組んできた、あるいは環境を作ってきたからこそ、息子の棋力が伸び、また大会で活躍できる姿も見れるようになったかもしれません。

将棋を始めたお子さんの保護者は、どんな風に子どもと取り組んできたらいいのかわからない方も多いかと思います。
本章では親将としての役割が書かれていますので、多いに参考になるかと思います。

あとがき

本記事にて、「才能に頼らない こども将棋上達法」の感想と本の紹介をさせていただきました。

本の中には、章の合間合間にコラムも書かれており、加藤先生の師匠との出会いや大学将棋の思い出など、一休みできる数ページのコラムもあり、普通に読んでいて楽しいものとなっています。

全体では377ページもある分厚い本ですが、グラフや表、イラストなども散りばめられており、また字も大きく、平易な文章で書かれていますので、とても読みやすいです。

ダイス

内容も面白いので、あっという間に読めますよ。

「才能に頼らない こども将棋上達法」こんな人におススメ

  • 子供が将棋をやっている親御さん
  • 子どもに将棋をやらせようか考えている親御さん
  • 将棋の指導をされている先生や指導員の方々

最後にまとめですが、「才能に頼らない こども将棋上達法」は、子どもを強くさせる方法論が書かれています。
ただし、方法論以外にも、
・将棋とは?
・将棋を指す意義
・保護者のサポート方法
なども書かれており、保護者の将棋に対する経験有無関係なく、誰もが理解できる、参考になる本となっています。

子どもさんの棋力向上にはとても効果的な本かと思いますので、将棋を指す子どもさんをお持ちであれば、一家に一冊本書があっても全く損にはならないと思います。

以上、「才能に頼らない こども将棋上達法」の感想でした。
この記事が読んだ皆様の参考になっていれば幸いです。

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才能に頼らない こども将棋上達法:Amazon

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