4月28日に開催されました第49回公文杯小学生将棋名人戦の決勝大会を観戦しましたので、その模様を報告します。
- 長男(大学1年)と次男(中3)を持つ親将(親将歴13年)
- 日本将棋連盟茨城常南支部役員 広報部長
- 千駄ヶ谷連盟道場初段、将棋ウォーズ二段
- 2022年11月から「こども将棋情報室」のサイトを運営
本記事は、大会当日にNHKスタッフから説明のあった注意事項2点を厳守して掲載させていただいております。
決勝大会掲載における注意事項
- SNS等の掲載は日本将棋連盟の「開催報告」の後にすること
- NHKの放映までは対局内容は公開しないこと
上記注意事項に則り、5月8日に日本将棋連盟より「開催報告」がされましたので、本記事も公開させていただきました。
また対局内容には一切触れず、それ以外のリハーサルから閉会までの模様について記事にしています。
日本将棋連盟の「開催報告」は下記リンクからご覧になれます。
公文杯第49回小学生将棋名人戦 決勝大会
公文杯第49回小学生将棋名人戦は、11月から2月にかけて、各都道府県で地方大会が開催されました。
そこで都道府県代表になった選手が3月24日に山形県天童市に集まり、東日本大会と西日本大会に分かれて次の決勝大会を目指して戦いました。
例年は東日本大会は東京で、西日本大会は大阪で開催されるのですが、本大会は日本将棋連盟100周年記念大会ということもあり、山形県天童市で同時開催となりました。
3/24に開催された東日本大会・西日本大会の模様は下記記事をご覧ください。
東日本大会と西日本大会を勝ち抜いた4名が、「小学生名人」の称号を手に入れるため、最後の決勝大会に臨みます。
決勝大会はNHKのカメラも入り、後日その模様もNHK Eテレで放映されます。
テレビ撮影もある決勝大会は全国の将棋キッズの憧れの舞台です。
本記事では、決勝大会の舞台裏を中心にお伝えします。
この舞台を目指して、更なる高見を目指してほしいと思います。
会場入り
第49回小学生将棋将棋名人戦の決勝大会の会場は、東京都港区にあるチサンホテル浜松町。
チサンホテルは、JR浜松町駅から歩いて5分ほどの場所にあります。
浜松町駅は、羽田空港からのアクセスもよく、新幹線でも品川駅と東京駅の間に位置し、交通の便はいいです。
私が現地に到着したのは、10時10分頃。
選手の集合は10時30分でしたが、すでに何人かの選手やご家族が会場に到着していました。
待ち時間に選手のインタビューもありました。
決勝大会出場の記念品としてNHKよりオリジナルG-SHOCKが贈られました。
後日選手の一人にお会いしましたが、気に入って使用しているとのこと。
会場のチサンホテルでは、大部屋の「ふじ」の間で大盤解説室(選手や保護者の控え室も兼ねる)、別室の「きく」の間が対局室となっていました。
「ふじ」の間は、前方が大盤解説のスペースとなっており、3台のカメラに囲まれて選手のインタビューや抽選、大盤解説が行われます。
後方に選手や保護者の席が用意されており、この席から大会を観戦できるようになっています。
対局室の「きく」の間も見学しましたが、撮影用の照明やカメラが用意されていました。
昨年度の決勝大会と同じようなセットになっています。
決勝大会・午前(リハーサル・インタビュー)
リハーサル・インタビュー
10時30分になり、始めにNHKのスタッフさんより本日の大会の進行や注意事項の説明がありました。
スタッフさんの説明通りに午前の部はリハーサルが進行していきます。
初戦の相手は、くじ引きで決めます。
箱に4本の扇子が入っているのですが、それぞれAもしくはBと書かれています。
Aの扇子を取った者同士が初戦で、Bの扇子を取った者同士が2戦目で対局をします。
扇子を取る順番は事前にじゃんけんで決めていました。
この辺りは選手みなさんリラックスしています。
次にインタビューのリハーサルと本番です。
それぞれの立ち位置の確認、インタビューと抽選のリハーサルを行い、本番に入りました。
子供達は緊張しながらも、山口女流三段の質問にはっきりと答えていました。
インタビューを終え、次は対局場の確認です。
今回の棋譜読み上げは、砂原奏女流2級。
記録係の中沢三段は、NHK杯の記録係でもおなじみ。生で聞いた秒読みの声は気品が感じられます。
対局場では主に下記の確認を行いました。
- 振り駒
- 中沢三段の振り駒で先手後手を決める
- 座り心地の確認
- 椅子の高さなどを確認
- 駒を並べる
- 年長者が駒袋を開けて、両対局者が駒を並べていく
- 音声の確認
- 実際に駒を動かし、駒音、棋譜読み上げの音を確認
昼食休憩
午前のリハーサルおよび収録は11時50分頃に終わりました。
ここからお昼休憩です。昼食は各々で取ります。
仲良しの祝井君と中村君は揃ってマクドナルドへ。
昼食を終えた後は、2人で練習将棋までやっていました。
一生に一度の対局前というのに2人は普段通り。微笑ましい光景です。
東日本大会と同様におでこに「貼るピタ」を貼っていました。
決勝大会・午後(対局・閉会式)
対局
13時より、いよいよ決勝大会が始まりました。
「持ち時間は各10分、切れたら30秒未満で指す」のルールです。
対局者の保護者が一番前方の椅子に座り、モニターや大盤を見ながら勝負の行方を見守りました。
お子さんの晴れ舞台ではありますが、お子さん同様に保護者の方も緊張されていたかと思われます。
対局の内容については、NHKの番組でお楽しみください。
午後の対局から羽生善治会長と池上社長(公文教育研究会)も会場に来られ、子供達の勝負の行方を見守っておられました。
対局を終えた子ども達一人一人に山口女流三段が積極的に声をかけられて、お子さんの労をねぎらっていました。
山口女流三段について大会後に親御さんから聞いた話です。
対局に敗退して号泣していたお子さんがおり、親御さんが気分直しにホテルの外へ連れ出したところ、なんと山口女流三段は外まで走って追いかけてこられたとのこと。
山口女流三段は号泣しているお子さんと一緒に涙を流され、「よく頑張ったね!すごくいい将棋だったよ!」と励まし、健闘を称えてくれたとのことでした。
山口女流三段は司会進行でも場を和ましたり、周りに気遣いをされておられましたが、こうやって一人一人の子供達にも声をかけられ、その素晴らしい人間性に私も感動させられました。
山口女流三段の涙を見て、周りにいた親御さんも感激して、みんなでホテルの前で泣いていたとのことでした。
いい話ですね。
16時過ぎに全ての対局が終わりました。
決勝大会の結果については、日本将棋連盟のHP(下記リンク)でご確認ください。
表彰式・その後
表彰式も簡単なリハーサルを行い、本番に入りました。
リハーサルのみ写真撮影がOKでしたので、その際にいくつか写真を撮らせていただきました。
優勝者は、公文杯と文部科学大臣賞の二つのトロフィーが授けられます。
トロフィーの他に優勝者には四段免状が、その他には三段の免状が贈られました。
最後に羽生会長から閉会の言葉をいただき、決勝大会は終了となりました。
決勝大会の参加記念として選手には将棋駒も贈られました。
閉会式後には、徳田四段、山口女流三段、砂原女流2級が気軽に子供達との写真撮影に応じてくれました。
一緒に写真撮影のお願いをする積極的なママさんもおられ、一同の笑いを誘いました。
ホテルを出たのは17時半。
リハーサルから対局、閉会まで7時間ほどでしたが、大きなトラブルもなく無事決勝大会は終了となりました。
大会関係者、選手、親御さん、みなさんお疲れ様でした。
公文杯第49回小学生将棋名人戦 決勝大会あとがき
今回小学生将棋名人戦の決勝大会を初めて観戦させていただきました。
子供達の憧れるテレビ対局がどのようなものか、その裏側を覗くことができました。
テレビ収録にNHKのスタッフさんが10数名おられ、いつもの将棋大会とは違う、独特の空気感が現場に流れていました。
その中でも、NHKのスタッフさんは、選手が最大限のパフォーマンスを発揮できるように、事前に椅子の調整や駒を触らせていただくなど気を遣っていただいておりました。
おかげで大会に臨む選手は違和感なく盤面に集中できたように思います。
また、解説の徳田四段、司会進行の山口女流三段、読み上げの砂原女流2級、記録係の中沢三段もNHK杯さながらに、みなさんのプロとしての役割をこなされてました。一つの収録にたくさんの方が関わり、作り上げていくものなんだと肌で知る事ができました。
全国2,000人以上が参加したこの公文杯第49回小学生将棋名人戦。
決勝大会に出場できたのは、厳しい地方大会や東日本大会・西日本大会を勝ち抜いた4名のみです。
選ばれた4名は、NHKのカメラの前で、棋譜読み上げや記録係もついて、また羽生会長にも見守られ、最高の舞台で将棋を指すことができました。
参加された4名のお子さんや親御さんにとって、決勝大会での対局は緊張しながらも幸せな時間だったかと思います。
また、後日のテレビ放映も一生の思い出になるかと思います。
この決勝大会は、間違いなく小学生名人を決める最高の舞台でした。
全国の小学生が、この決勝大会、この舞台を夢見て将棋に励んでほしい。
そして、また熱い対局をこの舞台で繰り広げてほしいと思います。
今回は公文杯第49回小学生将棋名人戦の決勝大会を記事にしました。
全国の将棋を指すお子さんや親御さんがこの決勝大会に興味を持っていただき、この舞台を目指すモチベーションにつながっていただければ幸いです。
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